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さいしょのすーちゃん

かなり前に半端に下書きしたまま、ずっと眠っていた記事ですが。


前の2作も記事に書いたからには、最後の1作も書いておきたい気分。
最後と言うか、最初なんだけどね(笑)

最新作からさかのぼって、結局初回作品に到達した。
すーちゃん』。
最初に読んだ3作目(笑)と、次に読んだ2作目の記事は、こちら。


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1冊で1年くらいの時間がなんとなく過ぎているような進み方の3冊。
一冊目のすーちゃんは34歳で、調理師免許を持っていて、鹿児島から上京してきてカフェの社員をやっている。


いやあ…裏切られた。
おっそろしく、いい方向に、裏切られたぞ、この本に。
シリーズの中で一番染みたかも。

もし、前の(いや、後の?)2作を読んでいなかったら、絶対この本を手に取ることはなかっただろうと思う。
それくらい、文庫の裏の紹介文は私にまったく響いてこなかった(爆)

『30代独身のすーちゃんは、職場のカフェでマネージャーに淡い恋心を抱く。そして目下、最大の関心事は自分探し。今の自分を変えたいと思っているのだが……。』

ウーム(-"-;)

私がどうにも好きじゃない言葉、それが「自分探し」というやつ。

自分探しってなんやねん?
自分は自分やん??

おそらく、かつて一人でふらっと海外を歩いたときなんかに、「自分探しの旅」みたいに言われたりしたのがとっても嫌で、その時の過剰反応がなんとなくズルズル引きずられて今に至っているのかも。
「自分探しの旅」、ギャーほんとにこういう自分酔いしたモラトリアム的な言葉、苦手なんですの。
なんだろう、結果的に自分を掘り下げるような旅をしたんだとしても、はじめから「ボクは、ボクを探しに行く…。」とかつぶやいてリュックサック背負って森にたたずんでいる的なイメージ、ダメっす(笑)

紹介文には続いて、

『ナチュラルライフに憧れてお米を玄米に変えたり、恋愛攻略本をつい買ったり、老人ホームの広告を見て「高い」とため息をついたり。共感度120%の、じわーんと元気が出る四コマ漫画。』

とある。

いや、あんまり攻略本とか広告にため息とか、共感度120%じゃないし。

っていうか、この本、四コマ漫画じゃないんですけど!!(爆)

一体どういう人がこの文庫本の裏ってやつを書くのだろう?笑
ともかく、この本を誤解して読まないところだったのを、そんなわけで読むことができて、良かった~。と思った。

紹介文は共感度120%ではなかったが、本の中身は、本当にじわーんと共感してせつなくなる。
上京独身女子の恋バナの共感度かって?
いやいやいや。この本をなめてもらっちゃ困る。
すーちゃんが考えているのは、「自分探し」じゃない。
「もっといい人になりたい」と思う自分を、自分探しという言葉に当てはめてみながらの問いかけ。

f0032403_21501174.jpg自分が大好きな人も、世の中には確かにいるけれど。

だいたいの、普通の感覚を持っている人なら、多かれ少なかれ感じることはあるんじゃないだろうか。

こんな自分が、イヤなんだ。
他人のことを悪く思ってしまう自分。
もっと、ほんの少しでもいいから、いい人になりたい。
いつも穏やかで、裏表なくてみんなに優しくて。
妬んだり、計算したり、人を押しのけたりすることは、いけないことだと知っているから。
だから、知っているのにそう思ってしまう自分が、イヤなんだ。
だから、そう思うたびに、諸刃の刃に自分自身が血を流してしまうんだ。

そういう感触。
わからないだろうか?
私はすごくわかる。
それが、「自分探し」ということなのかな?
そこがすーちゃんの疑問符。


f0032403_223314.jpg『すーちゃん』には毎回、すーちゃんの他にも登場人物がいる。
彼女の周りにいる、30代の始めから終わりまでの、様々な立場の女の子たち。
立場はいろいろ。

彼氏と早く結婚して仕事を辞めたい子。
不倫中の子。
長年彼氏がいない自分の「体がもったいない」と思う子。
お見合いで結婚して仕事を辞めた子。

それぞれの立場で、それぞれの女の子たちは、それぞれなりに一生懸命生きている。
不用意に傷つけるものたちから身を守るためにスレてしまった自分を、ちょっと嫌いになったりしながらも。


同じ益田ミリさんの『週末、森で』という本も、ちょっと似たような感じでおもしろかった。



とりあえずこの1作目が一番ぐっときた。
外で読んだんだけど一人で泣いちまったぜよ(笑)

将来、この本を読んで、登場する彼女たちに知ったような顔で批判を浴びせるような年の取り方をしていたなら、自分が最悪な年の取り方したってことだなー(笑)
by ushimaton | 2011-01-17 23:10 | おすすめ!

結婚しなくていいですか

いきなりびっくり的タイトルでございますが(爆)


前回の記事で、「体が資本」なんて息巻いていた(?)わたくしでありますが。

そんな、なにげなく自分の発した言葉に、ふっと立ち止まって考えてみたりする、そんなきっかけをもらった本を読み申した。


f0032403_2014498.jpgこの前書いた『どうしても嫌いな人』の『すーちゃん』シリーズの本のタイトルだったのさぁ。

『どうしても~』が最新刊で、これはその前の本。読む順番が入れ替わっちゃったけど。

いきなりこの本のタイトルを見ても、ビビッて手には取らなかったと思うのだけど(笑)、今は絶対何かある、きっと面白いと思うから(とみちゃんも読んだと聞いたし)、探し出して買ってみたのだ。

上京してきて、カフェの店長になって、つつましくもそれなりに順調に暮らしが回り始めた、すーちゃん。
ちょっと前に失恋したけど、今はのんびり楽しく過ごしてる。

タイトルだけを見ると、前向きに「私は結婚しません!」と宣言している女子の話みたいだけど。
違います。

っていうかね。結婚していない女子の中で、「私は結婚しません!」って宣言して決意して、その結果として結婚していない人の割合ってどんくらいよ、って話よね、普通に考えてみてさ。
それなのに、結婚していない女子は、何故、焦ったり非難されたり、なんだか後ろめたいような気持ちにならなきゃいけないんだろうね。
もう慣れちゃったけど、またちらっとそんなことを思ってみたり(笑)

本のあちこちから、そんな、ささやかながら無理して飲み込んでいる小さなキズが、小さな主張をしている。
「生理痛、子供産んだら治っちゃったよ。あなたも早く産んじゃいなよ。」
同僚のそんな何気ない一言。
…でも、慣れたりしない
慣れることは許すこと
こうゆう鈍感な言葉に 
傷つくことができるあたしでいたい。


お付き合いを始めた相手に、「子供が産める証明書をもらってきて欲しい。」と言われ、
「わかった。で、あなたは?」と返すと、「えっ、僕もいるの!?」と言われる。
そんなやりとりとか。

前に読んだ巻の帯で、内田樹さんが
『男って、バカでごめんね。益田ミリさんのマンガを読んでいると、男にはデリカシーがないということがひしひし伝わってきます。』
なんて冗談っぽいコメントを載せているのだけど(笑)
男というか、自分も含めた世の中のそんな部分を、よく切り取っているなぁと思う。

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こんな感じにゆるーく進んでいくマンガなんだけどね。

自分の老後ってどんななんだろう?と不安に思う、すーちゃん。
あれこれ想像してみたり、遺言状書いてみようとしてみたりしながら、ふとつぶやく。

「元気で長生きが一番!!」

ん?

そして、自分でそれをかみ返す。

誰が
好きこのんで 寝たきりになりたい?
なりたい人なんかいるわけない
なりたくてなる人なんかいるわけない
「元気で長生きが一番」って
もしかしたら 誰かを
キズつけている言葉なのかな

知らず知らずのうちに 鈍感になってる
自分の言っていることの意味を
考えなくなってる


このくだりが、益田ミリさんがじんわりと伝えたいことなのかもしれない。と思った。

f0032403_2049534.jpg本人に何の悪気もなく、私たちは、自分が持っているものを持っていない人に、小さなキズを負わせている。

健康がいちばん。
老後は誰にも迷惑かけない。
子孫を残すことが人間の使命。
がんばれ。
負けるな。

『すーちゃん』シリーズに出てくる人たちのように、
たまにふっとかみ返して考えるような、
そんな人間でありたいな、と、思った。


ジョシの心を見事に現した本だから。
だからこそ、女の子だけじゃなくて、いろんな世代の、できればダンシが読むべきだよ、こういう本。

ほんとに。(笑)
by ushimaton | 2010-10-03 21:03 | つらつら

すーちゃん

今日、本屋さんでなんとなく見つけて、ついなんとなく買ってしまった、マンガ。

f0032403_2175860.jpg益田ミリさんという人の、“すーちゃん”シリーズ、なんだって。
知ってた?
私は全然知らなかったんだけど。

どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心

ものすごくシンプルな絵で、シンプルな言葉で、ゆるりほろりと進むようなマンガ。
その気になれば一瞬で読める(笑)

鹿児島から都会に出てきて一人暮らししながら働いている主人公すーちゃん。36歳独身。
チェーン店のカフェの店長になったばかり。
そんなすーちゃんの日常。

それは、とてもささいなことなのだと思う
人を嫌いになる理由
いくつかの小さいイヤな部分が、
まるでたんすの裏のホコリみたいに、
少しずつ少しずつたまっていき、
そして、掃除機で吸い込めないくらいに、その人のことが嫌いになる。


でも、なんとかして嫌いにならずにいようとがんばって、うまくいかなくての毎日。
職場の人間関係に気を配って、誰も誰かと衝突したり亀裂が入ったりしないように気をつけて。
円滑に行くように冗談でくるんで、にこにこして、時には自分が責任かぶって。
悪い人じゃないんだからと、いいところを一生懸命探したり。
だけど、自分の胸の中には、降り積もって溜まっていく。

わかってる
気にしてはいけないってわかってる
ささいな事だって思えばいい
わかってる
でも、わかっていてもキズつくんだ
あたし、一体、どうすれば?
嫌いな人を好きになるようがんばればすべてがうまくいくの?
そんなこと、決意したらできるのかな


仕事帰りの道を一人でトコトコ歩きながら、いつもそんな風にぐるぐる考えちゃう、すーちゃん。
そんなときはもうご飯を作るのやめて、ピザ取ったりカレー弁当を食べたりしちゃう。
食べながら、やっぱりちょっとぐるぐるする。

そもそも嫌いとか好きって
「自由自在」って気がしないんだけど~~~

あ、カレー冷めちゃう


なんということもないお話かもしれないけど、
ぐっときますた。

ええ、歳も境遇も似てますから(爆)

やっぱり何気ないだけなんだけど、最後のページのそういう何気ないやり取りに、不覚にもちょっとホロリとしますた。


すーちゃん。
街で会ったら一緒に飲みに行こう。
by ushimaton | 2010-09-12 21:44 | つらつら

疲れすぎて眠れぬ夜のために

内田樹(たつる)さんの書く本が面白い、と聞いたので、本屋に行ったときにちらっと探してみたら、気になるタイトルのほどよいサイズの文庫があったので、買ってみた。

『疲れすぎて眠れぬ夜のために』

f0032403_20151864.jpgうん、おもしろかった。

ハッと気づかされたところがいくつもあった。

たとえば、“利己的”という言葉について。
衝動的に人を傷つけてしまうような犯罪が起こったときなどに、よく「利己的」という言葉が使われていたりするが、これは大間違いである、と。
だって、ほんの一時の欲求を最優先にして事を起こした結果、そのために人生がめちゃくちゃになってしまったりするわけで、まるっきり「利己」、自分の利益じゃない。利己を考えた行動じゃない。
本当の“利己的”というのは、そういう行動に使う言葉ではない。
自分に利益をもたらす行動。
それは、自分の周囲に敵を作らないということ。
つまり、周囲の人々を思いやった行動をとること。
なるほどね…。

仕事の上での、男女の違いについて。
男女は、違う。
だけど、一般的に違うように扱われている、または同じだと扱われている、それらとは一致しない部分で、同じだったり違ってたりする。
だからちょっとややこしくて難しいんだな。
『…でも、女の子の方はそうじゃない。若い男性がマスターしている、「サクセスモデルといっても、あんまりリアリティないしなぁ、でもま明日もオツトメですわ」というような、半分本気、半分適当、というような微妙な手抜きのしかたについては、訓練を受けたことがないんです。「手を抜く」というようなことは訓練を受けないと身につかない社会的技能なのです。実は。』
ああ、私、たぶん本当にへたなんだ、こういう技能。
たしかにメスっぽい。orz

『人間が仕事に求めているのは、突き詰めて言えば「コミュニケーション」です。ただ、それだけです。
やったことに対して、ポジティブなリアクションがあると、どんな労働も愉しくなります。人にとって一番つらいのは、自分の行いが何の評価も査定もされないことです。応答が返ってくるなら、人間はなんでもやります。ピンポンやテニスだって、玉が行って返ってくるだけです。でも、相手がいるから愉しいんです。』


そのほか、家族について、自分というものについて、新鮮なようで根本的なような、なるほどと思うような、気づきの沢山まじった視点をどんどんポンポンと見せてくれるような本だった。
それでいてとても読みやすい。

ちょっと話がぶっ飛ぶが。
ずーっと以前、私がグループワークなどの仕事にかかわっていた頃。
スキーの苦手な子供たちのためのスキーキャンプに(私も決して得意ではないけど)リーダーとして入ったことがあった。
キャンプの前にリーダーになる人たちだけで、スキー場で教え方を教わる日があった。
その一番はじめの時。
リフトから降りて、まず先生がすべり、その後を私たちが続いた。
先生は、ゆるい坂をハの字滑りでジグザグに降りていった。
私たちは、ゆるいナナメ滑りのところはスキーを閉じたり、全体にパラレルになったりしながらしゅるしゅると同じコースを降りた。
中に、全部をハの字滑りで降りた人がいて、皆が降りた後で先生はその人のことをとても褒めた。
その人は、実際はスキーの腕はかなり高かった。実際は大したことがないのにわざわざちょっと難しい滑り方をしてみせた、私や他の人とは反対だった。

その時のことを思い出した。

内田樹さんは、あのときの、すごくスキーがうまくて、でもゆっくりとハの字で滑ったリーダーだな、と思った。
難しいことやひょっとしたら難しくないかもしれないことを、とりあえず専門用語や横文字なんかを羅列して難しく表現することより、逆にやさしくひとつひとつあらわしていく方が、骨が折れるし難しい。
それに、小難しく書く方が尊敬を集めやすいし頭よさそう。
そんな変な虚栄みたいなものがないと、余計に「すげえなあ」と思えた。

感覚的に物事の芯を捉えるのがうまいのかな、と思った。

「なるほどね」とか「そ、そうか?」とか、色々感じながら、新しい視点や壊される感覚を楽しんで、“疲れすぎて眠れぬ”自分をほぐす。

いろんなタネを頭の中に蒔かれたような、こういう感触が好きです、私。
by ushimaton | 2010-08-30 21:16 | つらつら

むしとあたしたち

何度も書きましたが。
わたくし本当に虫が苦手な子でしたの。
極小羽虫を払い落とすだけで失神しそうになっていたし、アリが自分を歩いているだけでもパニック(^^;)
それが……
「いや虫いないとか絶対ありえないし」という環境に何度も身を置いて、
「キャー!」なんて恥ずかしくて言えない状況で働いたりしているうちに、いつの間にか逞しくなって参りまして…。
たとえばこんな修行:その1海編その2南国編
番外・給餌編大海嘯編入浴編
(紹介しすぎ?笑)

虫が「嫌い」なわけではないんですよ、ほんと。
どちらかというと「怖い」。(笑)

でも(?)、この本は面白うございました。

瀬戸口明久 『害虫の誕生―虫から見た日本史』

続けて本の記事で、っていうかここんとこ本のことばっかしですんませんが(^^;)
返却期限がきちゃってよぅ。
しかもなんか面白かったので…(言い訳)
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「コガネムシは金持ちだ~」って歌の「コガネムシ」、あれって実はゴキブリのことだった、という説があるのをご存知?
地方によっては、チャバネゴキブリの事を「こがねむし」と呼んでいたそうだ。
冬も暖かく食べ物もある豊かなお金持ちの家にしか、昔はゴキブリはいなかった。
ゴキブリは縁起の良い虫で、殺すことを禁じていたという地方もあったそうな。

そもそも、日本には『害虫』という言葉がずっと存在しなかった。
“害虫”と今呼ばれている虫が存在しなかったのではない。
虫を、「ただの虫」と「害虫」に分けるという“考え方”が存在しなかったのだ。

畑や田んぼには、もちろん昔から虫害というのはあった。
だが、明治時代までの人にとってそれは雨や日照りなどと同じ“天災”の一つであり、その原因である虫を人間の力で「駆除する」という考え方すら存在していなかった。人間の力で制御などできるものではない、人間を遥かに超える存在だったのだ。
だから人々は、「お願いですから田んぼから出て行ってください」と祈祷し、お札を掲げ、その「たたり」を鎮めようとした。
『虫塚』を建てることによって、殺した虫の霊を慰めた。あるいはさらなる祟りを抑えようとした。
“害虫”であっても、殺生であったのだ。

西洋化が急速に進むにつれ、虫への意識が変わった。
虫は、恐れるべき自然の猛威や天災から、人間の手で一掃すべきもの、そうできるものになっていったのだ。

爆発的に発展した、すぐれた(効果のある)農薬や駆虫法は、どれも戦争の影響でここまでに発展した。
なぜなら、戦争で「人間を相手に」ばら撒くことを目的に、日本含む各国がお金と科学者をつぎ込んで研究した成果の延長だから。


「虫」や「害虫」への考えかたの歴史をたどれば、同時に人間社会の移り変わりもわかる。
そういう本だった。

なんとなく、
「そうかー、西洋文明というのは極端で大ざっぱで悪いものじゃのう。」
と思ってしまいそうになるところだが。
この本は、「西洋文明=自然破壊」「東洋文明=エコロジー」というありがちな考え方にも一石を投じている。

『しかし私は、江戸時代の人々が「害虫と共存」していたとは考えていない。江戸時代の人々も、現在の私達と同じように、害虫に苦しめられ、できればいなくなってほしいと考えていた。(中略)
そもそも江戸時代には「エコロジー」「自然破壊」という発想そのものがなかった。したがって、「エコロジーか自然破壊か」という二分法で歴史を描くことは、現在の目標で過去を評価し、断罪してしまうことになってしまう。』


そうだよね。
誰も望まないなら害虫防除なんてしないし、殺虫剤だって取り入れようとしない。
目の前の人を豊かにしよう、あとちょっと楽になろう、困っている人を助けよう、そこから始まったものなんだよね、どれもこれも。

「害虫」をごっそり殺したおかげさまで私達は飢えることもなくこんなに山のような食べ物に囲まれていて。
「粗末にしたら、バチが当たりますよ!!」
ほんとにね。
by ushimaton | 2010-02-05 14:57 | 気になること

詩と科学と地球と火星と

小学生の頃。
今は全く見かけないが、その頃あのチョコレートドリンク?の『ミロ』は、
インスタントコーヒーのような大きなビンに入って売っていた。
そのプラスチックのふたをカッターで切り抜き、ミロのラベルの上から油性マジックできったなーーい字で、
『ぼうえんきょうちょきんばこ』と書いて持っていた。
子供の貯金なんてたかが知れているんだけど、大人も協力して小銭を入れてくれたりして。

あるとき、買い物帰りの母親が、
「近所のスーパーで、望遠鏡を売り始めた!」
と言って、貯金箱を開けた。
子供達が取り囲んで眺める中、小銭を数え。それを持ってお店に戻った母。
(私も一緒だったような気もする。)
こうして我が家に、とても小さな反射式の天体望遠鏡がやって来た。

月の表面を見る。
ものすごくまぶしくて、すごいデコボコ。
空気でちょっとゆらゆらしてる。

私はまんまと天文少女になり、望遠鏡見たさ(と実験やりたさ)に中学では科学部に入り、
他の部活の子たちが帰った後の暗い屋上で、学校の望遠鏡を使って手当たり次第に星を眺めていた。
宇宙少年団に入って、将来の夢を「宇宙飛行士」と書いていた。
(その後高校でまさか科学の赤点ギリギリ人間になるとは……orz)

そんな頃、毛利衛さんが日本人として初めてスペースシャトルに乗って、宇宙へ行った。
それはもう大変な騒ぎで。
日本人のヒーロー。子供達の憧れ。
宇宙少年団だったおかげで私も何度かお会いしたり、一緒に海外のコンファレンスに行ったりした。
とても優しい印象の、狭い意味ではない「教育」に熱意のある方だ、と感じた。
私にとって「宇宙飛行士」は、ともかくまずはあのときの“最初の3人”。
毛利さん、向井さん、土井さん。

大変だったろう、とつくづく思ったりもする。
スーパーアイドル歌手みたいな、しかも相手は油断ならない(笑)インテリ系や政治系やピュアな子供達や、
ドサクサに紛れようとするいろんな種類の人々だったりして。
いちいちの言動に注目されて、いわれない批判のようなものもきっとされることもあるだろうし。

だけど、印象に残っているのは、あるときどこかで毛利さんが
『自分を通すことで宇宙に興味を持つ人がいるなら、自分は“客寄せパンダ”でかまわない。』
というようなことを書いていたこと。
私、毛利さん好きです。


その毛利衛さんが、どうやらSFを執筆したらしい、と聞いて興味を持った。
報告やノンフィクションの本ではない、SF。しかも宇宙を舞台にしたSF。
ほんとうの「宇宙」をよく知る宇宙飛行士が描く宇宙絵巻。
しかもそこには幽霊も登場し、主人公は恋もするし、カノジョに振られたりもする。

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時間があるのをいいことに、また借りて読んでみた次第であります。
『モマの火星探検記』

とっても素敵な本でありました。

動画もつけたので折りたたみます。↓


続きはこちらから。
by ushimaton | 2010-02-02 18:09 | おすすめ!

うまさ悶絶級

先月までお邪魔していた、山奥で新規就農準備中のみっちゃん一家から、すてきなサンちゃんギフト♪

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ジャージー牛サンちゃんの牛乳、牛乳豆腐、クロテッドクリーム(うまさ悶絶級)、バター。
それから、特産品の焼酎やワインまで……ひやあ。

父まとんが据え付けた、牛舎の電気のお礼だとか…。
私は電気工事はノータッチだったのにうちばっかし貰っちゃって、こき使われていたほかのメンズに申し訳ない気がしてき…いや、Iちゃんは乳製品嫌いだし、たけさんはそもそも農場主だから、ま、いいか(爆)

私が帰ってくるときに、手土産にしこたま持ち帰った牛乳豆腐も、パニールカレー用に取ってあるもの以外は底をついていたので、家族一同大喜びでございます。

f0032403_22413978.jpg早速食べましたとも。

この、ほんのりとした甘味と濃厚な味わいがたまりません、サンちゃん豆腐。
(レンジで解凍してちょっと時間がたった時の写真で、表面がちょっとかぴかぴ)
ちょこっとゆずポンをたらすと、さわやかでこれまた美味。
青じそドレッシングもオススメ♪
ケチャップは…微妙…(^^;)

はじめてこのブログに牛乳豆腐が登場した記事

暖めずにサラダに混ぜ込むとか、味噌汁やスープに入れるとか、楽しみ方はかなりあるのだが、どうしてもオーソドックスな食べ方を楽しんでいるうちに終わってしまう我が家(-_-;)

一緒に焼酎もいただきました。
おいしかったよ。うん確かにほんのりとふかし豆(!?)の香りがするような気も。
ありがとうございました。

一緒に、まるで我が子か我が孫かみたいにしてひー姫とヒカル王子を抱っこした、まとん父娘の写真が。
でも、ヒカル王子がものすげー迷惑そうな顔してんの。
ウケる。

同封されていた、4歳児ひーちゃんからのお手紙。
『ひかるもげんきです。
 めんどりとおんどり まぜないでかって、たまごいっぱいうんだら おんどりもあわせてかいたいんだ。
 うばちゃんへ                ひなたより』


お、おもしろい……。
あいかわらずひなたワールド炸裂!!
ずっと前からやたらとニワトリを飼いたいと言っているもんな。
可愛いわよ、ニワトリ。なついたらね。
(まとんは、お祭りで買ったヒヨコ(♂)を、ペットとして9年半飼っていた)


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猫、もちろんこの荷物の箱も入る。


ところで、牛といえば(?)。
やっと読みました、荒川弘の『百姓貴族』
ハガレンこと『鋼の錬金術師』というマンガが面白いと薦められて、妹に借りて読んでいたのだが(面白い!)、その作者の実家というのが、かつてのみっちゃん一家のわりあい近所で、酪農家なのだそうだ。
で知人がその牧場となんだかんだ関わりがあったらしいとは聞いていた。
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この作者、すげーガッツリ百姓
子供の頃から家の手伝いで酪農と畑仕事をしてきて、農業高校を出て、漫画家になるまでも7年農業やってた。
「水がないなら牛乳を飲めばいいのに。」
などとすごい暴言を吐く姿が、たまらなくたくましい(←でも女性)。

ペンネームからして、たしか本名じゃなかったっけ。
そういう堂々としたたくましさ、大好きっす。
ギャグにも暴言にもマジメにも、しっかりと地に足がついている強さがある。
雄々しいなー。メスだけど。
by ushimaton | 2010-01-25 23:26 | つらつら

国際的KY問題!?

ハイチ、大変なことになってしまっておりますね…。

空からハイチを見たとき、隣国ドミニカとまるで違う眺めだったので驚いた記憶がある。
リゾートホテルやネオンもあるドミニカと、地続きだけど、テラテラ反射する銀のトタン屋根と土っぽい壁の色ばかりだったハイチ。

そのハイチで、欧米の人々の孤児受け入れが活発化しているそうな。
それには慎重論も出ていたりして。
ニュース記事
ユニセフのコメント

うーん。
現地の状況もわからないから、なんともいえないんだけど…。
(とりあえずドサクサで子供を売り飛ばしてるヤツは最低最悪だ!)
受け入れる人々はたぶん善意でやっていて、「これで子供たちは幸せになる。」と思っているんだろう。
…なんだけど、なんでしょうこのモヤモヤ感。
って言っても、私は実際に助けになること何もしてないからなあ。

ただ、「善意」というものが、空回っちゃってたり迷惑になっちゃってたり、ただの自己満足だったりすることってのも、残念ながら世の中にはあったりするのかな。と。
この養子の関係のは、どうだかわからないけど…。


f0032403_0225615.jpgちょうど、これまたたまたま(←みにくい)見つけて読んだ本が、かなり衝撃的だったのであります。

中村哲『ほんとうのアフガニスタン』

図書館の『医療』の棚にいきなり“アフガニスタン”ってなんじゃこりゃ!?と驚いて手に取ったんだけどね。
(てか本当にその分類はいいのか?)

私、ホントに物知らず(物知りの反対。笑)で。
アフガニスタンのことも、「おそろしく治安の悪いイスラム教国で、テロリストが潜伏してるわやくちゃな国」みたいなイメージしかもっておりませんで。
とりあえずは遠い世界の出来事、みたいな。

中村哲さんというのは、お医者さん。
登山で訪問したのがきっかけで、1984年にパキスタンのペシャワールで医療活動を始め、そのまま現在まで、だから、もう26年も、おもにアフガニスタンでイロイロやっている人だ。

イロイロというのは、お医者なので医療活動がメインなのだけど、診療所で患者を診るだけではどうにもならないことが起こりまくって、医療だけをしていられなくなったのだ。未曾有の大干ばつで国中の川が枯れて赤痢などが大発生したので、井戸掘りをしたり。(一年間で一千本の井戸を掘った)
大干ばつに加えての戦乱で100万人の餓死者が出るとの予測を受け、空爆の下を一千トンの小麦を配り歩いたり。

とにかくずーっとアフガニスタンに根を下ろして、アフガン人とともに暮らして、現実を見ている。
外国から見るアフガニスタン像や流れ出る情報が、あまりにも現地からの現実と違いすぎて、もう本当に違いすぎて、歯がゆくて、くやしくて、がっくりきてしまいそうになる。
中村さんは、やさぐれもしなければ媚びもしない。すごいと思う。
というかそんな暇はないのだ。
彼の目に映る、実際の現状を繰り返し繰り返し伝えながら、自身はアフガンの地で今すべきことに奔走している。

だいたい、ニュースやテレビなどで知る“その場所”や“その国”と、実際のその場所というものはギャップがあるものだろう、とは思うけれど。
アフガニスタンはそういう意味で、世界一スペシャルに気の毒な国だと思った。

アフガニスタンは、お世辞にも肥沃とはいえない超高地(低いところでも富士山頂くらい)にある、小さな部族が寄り集まってできた、貧しいド田舎国家。
地理的な問題で、昔からソ連と欧米に介入されてムチャクチャ振り回されてきた。
今も、振り回されてる。で、ただ普通に生きたい人々が死にまくってる。

タリバンは本当に悪の権化なのか。
どうしてそんな報道になってしまっているのか。

アメリカを攻撃したから、そいつが極悪人。
そいつが隠れてるから、隠れてる家はぐっちゃぐちゃに叩き潰してもいい。
関係ない人がぺったんこになっても仕方ない、悪いのは隠れてるやつ。
そうだそうだ。
そういう家の中で、黙々とぺったんこになった人たちを治療して瓦礫を立て直す手伝いをしている。
すごい。

「援助」ってなんなのか、と考えさせられる。
教育や女性解放という活動ですら、価値観の押し付けになっているだけだったりしないか。
本当に必要なことって何だろう。
押し付けの援助は自己満足の延長。自分のためにしている援助になってしまう。

アフガン難民を故郷に帰す援助活動として、国際社会から二十億ドルがつぎ込まれた時、実際は内乱状態である田舎に帰った人は誰もいなかった。
だが、田舎の内乱が収まったとき、人々は誰の援助も受けず自力で帰ってしまったそうな。
あんときの二十億、どこに消えたの??
そんな話を聞くと、何も考えずにただお金を払うのは、たとえ善意の産物であっても、政治的アピールや自己満足しか残らないものになってしまうのかな…なんて思ったり。

百人の専門家が蚊帳の外であれこれ言うのを聞くよりも、二十年その国の地面から離れなかった彼の目を通したその国を聞くほうが、何百倍も説得力とリアリティがある。
こういう過激なこと(単なる援助活動なんだけど)してる人だから、あれやこれや言う人も少なからずいるだろうけど、でも彼はとってもすごいと思う。

中村哲さんの著作を、一冊でも読んでみると、いいかも。
by ushimaton | 2010-01-24 00:44 | おすすめ!

霜降り肉禁止法案可決

前も書いたことがあったが、札幌市の図書館は、とっても便利なことになっている。

札幌市内にある10の図書館、各区民センター内の図書コーナー、市内20箇所以上の地区センター図書室、その全ての本を、その中で自分に一番都合の良い窓口から借りることが出来るのだ。
全ての蔵書はインターネットで検索することが出来、予約も…自宅で出来るらしいが(^^;)、私は近くの地区センターの図書コーナー窓口に借りたい本のリストを渡し、その場で予約や取り寄せの手続きをしてもらっている。
さすが、札幌市内40箇所もの蔵書となっては、かなり新しいものやマニアックなものまで、探せば大抵見つかるのだ。

図書館どころか、本を売ってすらいなかった離島暮らしから考えると、夢のよう。
同じ日本でも、受けられるサービスというのはずいぶん違うもんだ。

それで、本の予約に図書室に行ったのだが、ついでに久しぶりにぶらぶら歩いて見て回った。

読みかけの本なら色々ある。
しかし、どれもこれも前巻を読んでから時間が経ちすぎて、続きを借りようにも中身を憶えていないのだ(-_-;)
『ハリーポッター』も、『ドリームバスター』も、『竜馬が行く』も。
おそらく2年以上前にこの辺まで読んだ、と思われる、宮部みゆきの『ドリームバスター3』があったので、読み返してみた。
…たしかに、読んだことがある手ごたえはあったが、パラパラくらいでは全く思い出せないので、とりあえずはそっと棚に戻す(-_-;)←借りて読み直すにしては4巻がなかったので微妙だった。

そうやってぷらぷら見ていて、なんとなく手に取った本が面白そうだったので、予約した本が届くまでと思い、借りてみた。

いやーーーーーーーーーーーーーーー、面白かったっす。

f0032403_124355.jpg
『マーブル騒動記』 井上剛

知ってた?この本。
背表紙に牛のシルエットが載っていたので、なんとなーく手に取っただけだったんだけどね。

第3回日本SF新人賞受賞作だそうだ。


ある時突然、日本中の牛が次々に知能を獲得する。
そのうち、代表の牛が日本政府に向かって、人権ならぬ「牛権」の主張を始めるのだ。

「我々を食べるな。」

もちろん、日本中が大騒ぎになる。

人語を解し、明らかな知能を持った家畜。
それを知ってにわかに騒ぎ出すは、動物愛護団体。
「知能ある生き物を殺して食べるなんて残酷なり!」
欧米各国は、日本政府に対して国産牛を食べることをやめるよう進言し、代わりに自国の牛肉を売りつけようとする。
国際ヒンズー教連盟は、全ての知能牛受け入れの意思を表明する(笑)

《濃厚飼料か。粗飼料の方が望ましいのだが。》
牛は、与えられる食べ物にも口を出す。
私利私欲が目下の最重要項目である人間に対して、知能を得た牛というのは、牛という大きなカタマリとしての利益のみを冷静で理知的な脳を使って追求する。
《そもそも、君たち人間の愛情は、往々にして一方通行であり、善意の押し付けであるように思われる。》
牛は時折、その横長な瞳に写る人間像に厳しい突っ込みの言葉を告げる。


結局どうなっちゃうのか気になって気になって、私にしては相当なスピードで読み終わってしまったよ(笑)
もちろんその辺のことはここでは書かないけど。



自分も牛関係の仕事となんだかんだ関わってきたっていうのもあるかどうか。
そうじゃなくても、人間、なんとなくどこかで引っかかって気になってしまうものでしょう。
「わたしたちは他の生き物の命をいただいて生きてるのね。感謝して生きましょう。」
ありきたりな言葉だけど、今日もどこかで誰かが口に出している。
そこに罪の意識を感じるべきなのだろうか?とか、でも仕方がないことでしょう、とか。
クジラを食べるのはかわいそうなの?とか、じゃあ牛や豚はかわいそうじゃないの?とか。

なんとなーく、そういうモヤモヤ感をどっかにくすぶらせて生きてるのが、現代人で文明人である私達なので。
だから、こんなどことなく皮肉なストーリーに、思わずごくりと唾を飲み込んだりして。


面白かったっす。
本を読みながらいつの間にか、本当に牛と会話しているような気分になったりして(笑)
設定自体がSFであるし、実際に牛を飼っている人が読んだらちょっとは突っ込みを入れたい描写もあるのかもしれないが、とてもよく調べているし、設定に入り込めると思った。
軽い感じでどんどん読める。

こんなはちゃめちゃストーリーなんだけどね、ホロリときちゃったよ(T_T)

興味がわいたら本屋(か図書館)へゴー!(笑)
by ushimaton | 2010-01-15 02:18 | おすすめ!

ベトナムの王子

昨日(もう一昨日か)、テレビで『もののけ姫』やってましたな。
ものすごく久しぶりに、ついついすごい真剣に最後まで観ちゃったよ~。


その感想文を書くわけではないが(笑)

しばらくぶりに改めて観ると、なんとも深いですなぁ。
劇場で公開したとき、私にしては珍しく2回も観に行ってしまったんだ。
↑ジブリの映画ってだいたい好きだけど、映画館で観た事はほとんどない。しかもこの映画、2回も行った割に、以降あんまり後を引かなかった。

でも、そのときとはちょっと違う感動をした今回であった。

このお話にものすごい深みを持たせている存在は、あの「エボシさま」っていう女の人。
西の山奥にある、タタラ場の里の女主人だ。
なんかすごいおっかないおねえさまで、彼女が、それまで聖域だった神の住む山を開墾するために、山の神様を殺そうとするから、事態は色々といやな方向に向かって行ったりする。

だけど、「悪い人」ってんでもない。
売られた女の子を次々引き取っては連れて来る。
差別され蔑まれる、くされ病の人々を人間として扱う。
厳しい労働はさせても、こき使って搾取させようと集めたって風でもない。
でも一方で、涼しい顔で見捨てたり切り捨てたりもする。
そしてどんな場面でも、タタラ場の人々は彼女を慕っていて、彼女に頼りきっている。

その時代の一番の底辺に苦しむ人を集めて、普通に暮らすには、自分達でどうにかして生きる術を持つしかない。
それで製鉄をしているわけだ。
それには材料がいる。
で、山を拓く。

「それっていいこと?」という疑問には、「そりゃああかんっしょ」と言いたくなる。
だってその代償で、主人公の青年はとばっちりに死の呪いを受けちゃってるんだもの。
シシ神様、すごい神様だし。
いつの間に、人間は人間「様」って自分達の事呼んでるの?って感じだし。

その、もどかしさ。その、せつなさ。
煮え切らないモヤモヤ感。
その表現こそが、ほんとに素晴らしいと思った。宮崎駿。

たとえばありきたりなアクション映画とかだったら、エボシ女史の人格はもっといや~な感じのごうつく女で、慕われてるけど影ではなんか悪いことしてて、最終的にはギャー!とかいいながらひどいしわくちゃ顔とかになりながら苦しんで跡形もなく消え去って、ハッピーエンド。みたいになりそう。

そうじゃないところが、ほんとに大事なんだと思う。

エボシ女史だけでなく、登場する全ての人間が、憎みきれない人間ばかり。
タタラの里にも、坊さんにも、タタラ場を攻めるさむらいにも、愛すべき人間くささが描き出されていて、白黒はっきりしないのだ。

なぜなら、人間ってほんとはそういうもんだから。



映画を観ながら、読み終わったばかりの本のことをちょっと思い出したりしていたのだ。

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出た!(笑)

森達也の、『クォン・デ もう一人のラストエンペラー
(読み終わるまであちこち持ち歩いていたのでくちゃくちゃ)

半世紀ほど前、クォン・デという名の老人が、東京の粗末な借家でひっそりと息絶えたという。
彼は、その何十年も前に、ベトナムの最後の王となるべくして、人々の希望を一身に集めながら、フランスからの祖国開放を夢見て日本を訪れたベトナム最後の王族のひとり。
そして、その後二度と祖国の土を踏まずに消え去っていった、まぼろしのラスト・エンペラーだった。

フィクションじゃないよ、実在した人間。
だけど、誰も覚えていない。
時代の大波に揉まれ、飲み込まれ、あがいて、そして歴史のひだの奥深くに埋もれきっていった、そういう人だったのだ。

森達也が、たまたま会ったベトナム人留学生に、
「ベトナムでは誰もが知っている人なのに、彼は日本に殺されたようなものなのに、どうして日本の人は誰も知らないのですか。」
と言われた事から、その“発掘作業”は始まった。

乏しい資料から9年間かけて掘り出し集めたクォン・デという人間について。
そして、彼と関わった沢山のベトナム人、日本人たちについて。
話のスムーズな流れを止めてでも、彼は本の中で、その一人一人を追いかけ描いていく。

どうして、この王子はかくも不幸な道を歩み、こんなにも忘れられてしまったのか。

王子のその足跡をたどる作業は…とりあえず、もし興味のある方がいたら、時間のある時に読んでいただきたい。(すんませんな。まとまらないもんで^^;)

それを追いかけながらも、この本を通じて彼が伝えたかったもの。
それは、本来のこの本のテーマと少しずれるのかもしれないけれど、
全部、人間だ。ということ。
…なのかな。と思ったのだった。

歴史的に、こーんなヒドイ事をした人。
「悪いやっちゃなー。こいつがいなかったらこんなんならんかったんじゃね?」
ほんとかな。
そうやって「悪いやつ」「いいやつ」に押し込めるのは、とてもすっきりするけれど。
そうじゃないから、人間ってむずかしい。
モヤモヤして、苦しくて、すっきり憎めない。
それが大事なんかなあ。

フランスの、日本の、植民地欲に揉まれて、希望を抱いては失望に変えることを繰り返して。
だが、彼らを囲む多くの日本人、時にはフランス人も、心から彼らを大切にした人々も多かった。
優しい王子は、日本人を憎めないゆえに、日本も憎めない。
優しい人々が集まって、突進する猛獣みたいなヒドイ国家を作っているっていうのに。


たとえば今、腕をもがれたこの人と、腕をもいだこの人と、見ている私と、どのくらい違うんでしょう?ってこと。
そりゃあ違うよ、私とあなたと。けどどのくらい違う。
百万人を殺せと言った人。賛成して殺した人。私。
人間って脆くて複雑で単純で。
そういうことを、頭の隅にちらっと持っていよう。

いい人だけど悪い人。親切だけどやな人。
矛盾しているようだけど、全然してない。誰もがそうだから。
だからそれを矛盾と定義してはいけない。
そう思っとくのって、大切なのかもしれない。

と、そう思いました、まる。

この本についての、本来のおはなしとは違うけど(^^;)しかも意味不明。



『もののけ姫』のアシタカ青年は、森を切り拓き生きるほかにない「人間」の里に生きることを選択する。
山犬の姫は、森に生きる。
だけど二人はとても似ていて、つながっている。

よいお話だと思いました、まる。


で、また戻るようだけど。
ベトナムの王子のこと、忘れないでほしい。
そうも思いました。
読む本探してる方、知ったって下さい、王子のこと。
by ushimaton | 2010-01-10 00:38 | 気になること


気が小さいのに、珍しいものは好き。 道草を喰って、たまに反芻したり。 牛歩ではありますが。


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