そんな近況。

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「ヒロちゃん、わりぃ、今日は早く帰る。」
「なんかあったの?」
「友達が、…亡ぐなったって連絡来てさ…自ら命を絶ってしまったぁ…。」
「え……。」
「ちょうど1年前に、津波で流された奥さんと娘さんが見つかったんだ。
結局、あいつも、いっちまったんだなぁ…。」
「……。」
「本当多いんだ。みんな…。
本当に多いんだよ。なあ…。
抑えたって、やっぱり泣けてくるよなあ……。
どうして、どうして、こんなになっちまったんだろ、なあっ……。」





「あれなのかな、心の病ちゅうのは、やっぱり、普段、何でもなかった人も、いきなりなるもんなのかな?」
「なることもあるよ。どうしたの?」
「いや、うちの親戚が入院したんだ。刃物を振り回したり、自殺しかけたり、手がつけられなくなって。」
「今まではそういう事なかった人が?」
「全くそんな人じゃなかったんだよ。
だけど、津波があって、波が引いた後で、家の中に、
流されてきた知らない子供の遺体があったんだと。
津波の前は、元気だったのになあ、こんなに変わるもんなんだな…。」




スタッフ仲間たちのつぶやき。

それから、長いため息を吐いて、口々に、

「きついなあ…。」
「ひでえなあ…。」

と、漏らす。

今になって、今が、きつい。

そんな声があちこちから聞こえる。


スタッフ自身も被災者であるということ。

これが、こんな会話が、ここの日常。
ここの現実。


私に、私たちに、何ができるだろうと、考える。
# by ushimaton | 2012-06-04 23:36 | 東日本大震災

違うけど同じもの

遠く中国地方の某県から、ボランティア希望の方が来た。

活動期間は、ほぼ半日。
東京に用事ができたため、それと合わせて、
「ずっと行きたいと思っていた」
被災地ボランティアにいらしたのだという。
知人の伝で、私たちのところに来た。

自治会の防災関係を担当されているらしい、60代くらいの男性だった。

たったの半日だとしても、せっかく来てくれるのだから、何か得るものを見つけて行ってもらいたい。
「何かをする」ために来るボランティアの受け入れ側でも、
いつも私たちは私たちなりに、いろいろと考えて受け入れる。

地元スタッフのSさんとコンビになってもらって、送迎に入っていただくことにした。
今、私たちの団体のスタッフの過半数は、地元石巻の人間。

地元の人の気持ちの中には、
「観光スポットみたいなノリで見に来ないでほしい。」
という気持ちと、
「来てくれたからには、ここの被災状況を見て知ってもらいたい。」
という気持ちがある。
一見矛盾しているようで、実は同じ事を言っているともいえる。
その二つの違いは、救いがたいほどの大きな開きがある一方で、紙一重でもあるかもしれず。

ともかく、
「わざわざ遠くからボランティアを希望して来てくれた。」
というだけで、地元スタッフは皆、とてもまじめに受け入れる。
自分自身の被災について教え、利用者である被災した方々の状況を説明し、
車窓の外の瓦礫の山や仮設住宅について説明する。

今回来てくれた方のポケットから、ピッ、ピッ、という定間隔の電子音がずっと聞こえていた。
「何の音ですか?」
その方は、ポケットから小さな機械を取り出した。
「放射線の測定器ですわ。」

絶句……。

東北の被災地=放射能、という短絡的な考え方。
東北に行くから測定器を持ち歩こう、という考え方。

被災者と向き合って、被災者であるスタッフとともに歩きながら、
ポケットでガイガーカウンターの電子音を鳴らし続ける神経。
そして、車の中で数字の上下を眺めながら、風向きがどうのこうのと口に出す神経。

たとえば、
「ここは放射線量が高いですね。」
と伝えたところで、何ができる?
それがどれだけ不快な思いを与えることのできる魔法の言葉なのか、
私自身も、この日に初めて知った。

ほんの少しでいいから、
もしも自分がここに住む人だったら、と
家族を失い、子供は東京からめったに来ることなく、足を引きずって人里離れた仮設住宅で一人
ただ日々を送る、あなたが今運んでいる後部座席のその人だったら、と。
運転席でハンドルを握っている、身一つのほかのすべてを流されたその人だったら、と。

おそらく、この方の感覚が、この方一人だけとび抜けてずれているものではないのだろう。
何がおかしいの??と思う人もいるだろう。
私も、ここにいなければ違っていたのかもしれない。

住民が自分で放射線を気にして機械を持っているのと、
たった一日滞在する人がポケットで電子音を鳴らしているのは、
それこそどうしようもないほど違う。

ここでは、住んでいる誰もが、自分たちの街の放射能についての心配を口にしない。
実際に心配していない人が大半であり、
それどころではない、という人がやはり大半でもある。
心配したところでどうもできねべっちゃ?ということでもある。

温度差とか、感覚の違いというのは今に始まったことではなく、
全く仕方のない事でもあり、
私と被災者の間にも、被災者と他の被災者の間にも、どうしても越えられないものはある。

違いは、違いであり続ける。
私が東日本大震災で津波の被害を受けなかったのは絶対に変わらない事実だ。

だけど、
並んで歩くことは、できる。
足を引きずるおじいちゃんの手を引くことができるのは、私が足を引きずっていないから。

何が必要なのか。
それは、ほんとうに、ちょっとの想像力なんだ。
ちょっとだけど、絶対に、必要なんだ。
世の中のすべてに。

人間にはそれができるから。



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# by ushimaton | 2012-05-27 10:52 | 東日本大震災

はなのうみ

花で花で、海が見えない

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夕方、桜を見に日和山にのぼった。

桜はいっぱいに咲いていた。

空気が香っていた。

その坂道を下った先を、包み込むように、いっぱいに咲いていた。


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この山に登るのを、嫌がる方もまだたくさんいる。
海が見えるから。海から山のすぐふもとまでの、荒野と化した世界が見えるから。
積み上がった瓦礫が見えるから。
あるはずの我が家が、あのひとの家が、どこにもないのが見えるから。



花は何を思うか


ほんのひとときだけ、傷ついた人の目の前を、やさしい色と匂いで、覆いかくした。


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# by ushimaton | 2012-04-29 20:26 | 東日本大震災

一年

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石巻に来て、一年が経ちました。
# by ushimaton | 2012-04-06 22:33 | 東日本大震災

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6年前?7年?いつだっけ?
に、ブログをはじめてからこっち、自分的プチ節目には何か書いていたものだが、今年は誕生日もいつの間にか通り過ぎてしまった…。
まさか自分に37歳という年齢が来るとは(笑)

まあ、ダテで過ぎるばかりの年月ではなかったことにしましょう。うん、きっとね。

「目指すゴール」なんてわからないけど、向かうのは全ての人と同じ「死」なのであって。
どうせ死ぬから努力とか向上は無駄なのかというと、別に人間は「結果」のために生きている訳ではないのであって。
「向上」のためにすら、生きている訳ではなくて。
ともすれば、子供の頃から刷り込まれた意識で、
「目指す結果があって、現在というのはそのためのプロセスなだけで、不完全な今の自分は本当の姿になっていない。」
と考えてしまうのだが。
よく考えてみると、それでは人生の99%を“仮の姿”という意識で過ごしてしまいかねない。
99%もそうなら、それは“仮の姿”ではなく、たぶんそっちの方が“自分”の主成分なのだろうな、と。
たとえば試験に向けて試験勉強している時の自分は、結果がまだでていないから意味がない、という訳ではないのかな、と。


冬が長い。

寝袋にくるまる生活がなかなか終わらない。
でも、昨日は暖かくて、虫が飛んで花が咲いた。
いつの間にか、昼の時間は夜より長くなり。

去年の今日は、千葉を離れた日。
やまもりの荷物を抱えて飛行機に乗って、新千歳空港からドキドキしながらまっすぐ札幌のホップを訪ね、初めて代表に会った。
5日に出発する隊に一緒に乗せて石巻に連れて行ってもらうことになったのが決まった日。

それから区役所に直行して、住民票を札幌に移した。
結局札幌には年間トータル1週間くらいしかいないんだけど(笑)

時間は巡るんだね。

一年前に泣いてばかりいた人が、少しでも泣かずに歩き始められていますように。



ところで、そんな節目の春になんですが、結婚します。
相手は、こちらにボランティアで来ていたネパール人です。
私の方が落ち着き次第、今度はネパールに飛ぶことになりました。




もちろん嘘です。

毎年毎年、欠かさず書いていたエイプリルフールが、気がついたら来ていた!という痛恨の事態になっていたのだけど、やっぱり何か言っておかないとね( ̄∀ ̄)



がんばるよ。
もう少し、石巻で。
大したことはできなくても。

そうさせてくれて、ありがとう。
# by ushimaton | 2012-04-01 08:25 | 東日本大震災


気が小さいのに、珍しいものは好き。 道草を喰って、たまに反芻したり。 牛歩ではありますが。


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