人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ごめんチビ

牛舎の掃除をしていたら、へい獣業者さんが来た。
「どの牛ですか?」と尋ねられたので、骨折チビ牛のところへ連れていった。
外に出すのを手伝った。足が折れているが、ヨロヨロしながらもすんなり立って、引っ張る方向にヒョコヒョコと痛そうにしながら、自分で歩く。

扉の外にはクレーンのついたトラックが待っていた。
歩けない牛などがよくへい獣になるためか、よく見る運搬車ではなくてクレーンつきの普通のユニックだ。
業者のお兄さんがクレーンのフックを下ろし、輪のついた縄をひっかけてもう一方をチビ牛の片足にかけた。
何が起きるのか怖がりもせず…いや怖がっているのかも知れないが、ちっとも抵抗せず、黙ってされるままだ。

クレーンが上がる。チビは前足一本で宙吊りになった。
初めから終りまで、一言も鳴きもしなかった。
余りにも素直すぎて、涙が出てしまった。
この仕事をしていて泣いたことはなかったが、今日のはひどく切なかったのだ。
外の牛のサイレージを一人でならしながら気持ちを整えた。


チビは殺処分で食用にはならなかったが、抗生物質を使っていなければビーフになっていた。
今世話をしている子牛の半分以上は、肉牛として売られる。オスだったり、F1といって和牛との混血だからだ。
乳牛になっても、乳が出なくなれば食用になる。

だから牛肉は食べられない?
それはなんだか違う気がする。
豚だって、同じように知恵も愛敬もある。鶏だってそうだ。野菜だってある意味そう。

大切なのは、ものを食べて自分が生きているということは、こういうことなのだ、と知って生きる事なんじゃないかな。と思う。
日々自分の取り込んでいる命はみんな、こんな風に長い睫毛で見つめたり跳ね回ったりイタズラしたりして生きていたのだ。
アメリカ先住民やアイヌや、マタギなどもそうかもしれないが、彼らが狩る生き物と自分達の命をどこかで同列に感じて見ている気がするのは、自分達の手で狩りをすることで、そういう事を感じていたからなのかな、と思う。

神奈川で、横浜市の職員の人たちの研修と一緒の講義をしばらく受けたことがあった。
その中に屠場の人たちの話を聞く日があった。地域から排斥されたり、家族が嫌がらせを受けたり、「屠場の人は畳で死ねない」と言われたりする、という様々な体験を伺ったのだが、その時に受講していた女性が「この仕事をしていて、罪の意識のようなものはないですか?」と尋ねていた。
罪の意識を持つとしたら、他人に殺させてスーパーで肉を買って食べている私たちの方なのだ、きっと。と、その時思った。
# by ushimaton | 2006-01-31 22:20 | ウシ話

ちびうし

ちびうし_f0032403_22354031.jpg

休みの日のお散歩アイテムを充実させようと、実家からスキーウェア(弟の)や冬靴などを送ってもらうことにした。
届いた荷物には、隙間を埋めつくす大量のお菓子。
靴下や薬なども入っている。母の愛ってやつだな。
しばらくは愛するチョコに囲まれた充実ライフを楽しめそうだ。


私が来るより少し前にハッチを卒業して三人部屋(?)生活中だった子牛が、少し前から足を痛めたらしく、元気がなかった。
今朝は檻の下の隙間に頭が引っ掛かって動けなくなっているのを発見したり、座り込んで立とうとしなかったり。
今日獣医さんに見てもらったら…骨折。
関節の辺りの骨折は、治らないのだそうな。

牛が足を悪くして歩けなくなるというのは、即ちもう「駄目」、ということ。
へい獣、つまり殺処分か、肉にするために屠殺場行きだ。
今回のチビは、抗生物質で治療していたので肉にはならない。へい獣に出すことになった。

産まれたての子牛がヨロヨロ立ち上がって、酔っぱらいのオヤジのようにおぼつかなくフラフラしているのを見て「頑張れよ~」などと言ったり、ミルクを飲むのが下手で苦労したり、下痢が治らなくて心配したり…。
世話をしながら、「やばい、こいつらなんかカワイイぞ」などと思い始めたこの頃。

近くを通ると「メェ~」としきりに鳴くチビを見ながら、「子牛のフィレ肉のステーキ」などという言葉を思い出してみる。
なんだか急に、おぞましい言葉のように感じられた。

もういなくなるのだが、水と餌を運んだ。
お腹を減らせたまま死ぬのは、悲しいでしょ。
# by ushimaton | 2006-01-30 22:35

毎日のお仕事・昼編

結構前に書きかけてた記事(-_-;)時間あいちゃった…


昼の(朝食後の)仕事は、だいたい11時から。

私のする作業は主にお掃除。
ウシ屋(酪農家)の仕事とはすなわち「牛を健康に生かしておいて、乳の出る状態にし、乳を取る事」であるからして、搾乳以外は牛の食と住の世話がお仕事、とも言える。

つまり、餌をやってウンコを掃除する。

まず、子牛のハッチ掃除。
子牛はみんな産まれたあとしばらくはハッチ、いわゆる個室で飼われる。板で仕切ってそれほど広くない空間を作り、藁を敷きつめた場所だ。
その藁を交換する。その際に、ハッチに入ると「ゴハンだ!」(←カン違い)とか「なんかだ!」とか良くわからんけど浮かれた子牛が、跳ね回ったり体当たりしたりそこら中しゃぶったり踏んづけたりしてくる。生まれたてといっても3~40キロくらいはあるだろうし、パワーに負けそうになる。

ハッチを卒業した子牛が5~6頭ずつ入る檻の中の掃除もする。
こっちはかなり大きくなった若牛たちの中に入っての掃除なだけに、子牛よりさらに手こずる。すでに人間よりはるかに大きくなったイタズラ者共が、放っておくと身動きが取れなくなるくらいチョッカイを出してくるので、結構本気で脅しつけたり、スコップやフォークの柄で戦ったりしながらの掃除だ。
しかも中途半端に柄でコンコン頭をたたいても、いい具合に生えてきた角を使って遊べる機会だ!とばかりに逆に喜ばれたりするから、真剣に(笑)勝負しなくてはならない。

その他、食べる草を取り替えたり、サイレージをあげたりする。
親牛の牛舎の床掃除も少しする。
どの作業も基本的にスコップやフォークや一輪車などを使った手作業だ。

何事もない日なら、これくらいの作業で昼ごはんに帰る。何か他の作業があればこの前後などにする。
普通は午後2時~2時半くらいに戻る。
またシッカリ昼食を取ると、4時までお昼休みだ。
朝晩は水の関係で洗濯機が使えないので、洗濯をするなら大抵この時間にしなくてはならない。二層式だから洗濯機にずっとついていなければいけないのがちょっとブルー。
などとあれこれゴソゴソした後は、軽く昼寝をすることが多い。
# by ushimaton | 2006-01-29 21:35

納得…!?

納得…!?_f0032403_2156974.jpg

昨日はガチガチにシバレていた場所をツルハシを振るって砕きに砕いた。
久々に、汗がだらだらと滴り落ちた。フリースやシャツ等をみんな通り越して、一番外側に着ていたつなぎがしっとりと濡れた。

栄養ドリンクを起きぬけに飲んで元気を奮い起こし、今日は大量のウンコさらい。腰に来た~(泣)

いつも一緒に仕事をしているスタッフの子が帰省中なので、今は私が一人で子牛の世話などをしており、責任が重大な上にチビ共が下痢をしたりして心配だったりもしたせいか、物凄く疲れているのに夜眠れなくて参った。
しかもホルモンバランスがおかしいのか、終って二週間くらいなのに生理が来てしまった。
ぐったり。

新しいスタッフの人は4年のキャリアのあるベテランだが、内勤のために採用されたらしい。
「外の人は足りているから」と…。
そうか、これって足りてるのか…残念(笑)
親方達が若い頃は、今とは比べ物にならないくらい厳しい労働を一日中していたというから、きっと今の状態は夢のように楽なのだろう。

疲れがたまってしまうと、どうしても信じられないようなドジがいつもよりさらに多く発生してしまう。
今日の晩の搾乳が終る頃、自分がエプロンをしていないことにようやく気が付いた。
そういえばこの前は帽子(ウンコガードの役割もある)を被り忘れた。
ドジをしないよう、紙に書いたり休み時間におさらいしたり、チェック項目をおぼえたり、色々努力はしても、「エプロンをつける」なんて本来忘れようもないはずの事はチェック項目なんてない。
こりゃあ、こんなにドジでは、親方だって怒鳴りたくもなるやな。

と、なんだか悲しく納得した。
ふ~、自分にがっかり(^_^;)

新しいスタッフの人がパワーポイントでスライドを作ったのを見て「この仕事は高いよ!」と親方は満足気。
うーん、なんか、切なくなってきた…。

がんばれ自分!!
子牛がごはんを待ってるぞ!
# by ushimaton | 2006-01-28 21:56

半分私信になってしまった

書きっぱなし状態が気になり、窓際に背伸びしながら携帯でネットに繋いでみたら、コメントが来ていて嬉しかった。
イジケ情けな状態に言葉を掛けてくれる人々に溢れる感謝どす!
見てみて良かった。

ただ単に親方出張で静かなのが理由かも知れないが、ようやく気分が水面近くに上がってきた。
昨日新しいスタッフの人が来たり、子牛の調子が悪くて心配したり、色々慌ただしい刺激があるのが良いのかも。

そして朝の休み時間にコメントを読んで、仕事しながら反芻した(それが良くないのか。集中しろってね)。
どこの何が理由で怒られるかがわからなくて余計にビクビクして失敗する悪循環(ガキっぽいなあ自分(-_-;))だけど、サンちゃんパパが言ってくれたように激しく言われるのは「そういうタイプなんだな~」とだんだんダイレクトに落ち込みすぎなくなれれば。
この道のプロとしてのありがたき助言、ありがとうでした。

プカプカ浮かんだブイかぁ。じゃあ、あのレトロなガラスの浮き玉がいいかな…って割れちゃうか(^-^;)
今んとこエチゼンクラゲみたいかな(笑)

藻古ちゃんもありがとう。ゆっくりでも使い物になっていけば良いのだろうね。
でも完成が一年後になるのはヤだぞ。一年間が目標なのに。

今までもヘタレてばかりで恥ずかしいが、毎回本気でヘタレちゃうんだよね(笑)
だけどその毎回をちゃんと生きてピンピンと乗りきってるのだもんね。

相模氏も相変わらず大変そうだ。私も相模原でも凹みまくってよく飲み会したねー。
また不定期例会をなされ。そういう場でも話ができるときっと違う。

記事を使ってまとめて返信のようになってしまい、申し訳ない。

またお便りします
母上様

一休(笑)
# by ushimaton | 2006-01-26 21:48


気が小さいのに、珍しいものは好き。 道草を喰って、たまに反芻したり。 牛歩ではありますが。


by ushimaton

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

☆★うしまとん★☆

 生まれと育ちは北海道

 震災被災地にお手伝い
 行っております

 コメントの返事が
 とどこおりがちですが、
 嬉しくありがたく
 読ませていただいています

 自分のブログの更新する余力がなかなかなくなってしまいましたが、日々の報告メールをこちらに出しております。
災害移動支援ボランティアRera


 
☆★リンク★☆

うしのつむじ
 牛の版画
ひまわりの家から
 手作り&子育て(休止中)
シーラチャーからこんにちは
 タイ子育て日記(移動前)
モロッコ雑貨 リヤド
 モロッコ雑貨とフェアトレード
うさぎのなみだ
 珠玉のひとこと日記
寺田本家
 千葉のおいしい造り酒屋
++明け烏++
 創作小説&日記
彷徨う語り鬼たちの杜
 創作小説
カナダ大平原のファームからの便り
 カナダの牧場
Cowbell's diary
 北海道の放牧酪農
照長土井の長岡日記
 但馬牛
北海道発 真っ赤なトマト
 激うまフルーツトマト
酪農生活100
 新サイトもあります
花のまわりをあるく歌
 手作り&子育て
打弦人生
 ハンマーダルシマー
フィールド オブ ドリームス
 関東の放牧酪農
Nayaカレンダー
 珈琲・カレー・天然酵母パン
うしカメラ
 牛写真家の牧場訪問記


◆笑いでウルオイを◆

ほぼ日刊イトイ新聞「言いまつがい」
虚構新聞

お気に入りブログ

代官山駅前日記
空を見上げて
バイオマスおやじの日々
ちょっとだけ大根
AZUのサンへーブログ。...
そらまめ~北海道便り~
世界は知らない事ばかり
なかじまや

以前の記事

2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
more...

検索

ライフログ


ナヌークの贈りもの [PR]


ともだちは海のにおい [PR]


いのちの食べかた [PR]


神さまってなに? (14歳の世渡り術) [PR]


ムーミン谷の冬 (講談社文庫 や 16-5) [PR]


どうぶつさいばん ライオンのしごと [PR]


ことりをすきになった山 [PR]


ぐるんぱのようちえん(こどものとも絵本) [PR]


HARD TO FIND Vol.2 [PR]


あなたが世界を変える日―12歳の少女が環境サミットで語った伝説のスピーチ [PR]

カテゴリ

つらつら
気になること
おすすめ!
ともだち&チビッコ
自分のこと
うち
ウシ話
旅のそら
まきばにっき
ほたてにっき
はたけにっき
みなみにっき
東日本大震災

タグ

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧