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祈り

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避難指示地域となってしまった場所で、牛を飼っている家族がいた。

牛たちを残し、断腸の思いで避難しなくてはならないその日、家を出る直前に牛舎にやってきた中学生の息子は、「うっかり忘れた」振りをして、牛達のいる牛舎の扉の鍵をそっと外し、家族と共にその場を後にしたのだそうだ。

その後、長い間、牛舎に戻ることができなかった。
餌もなくなり腹を空かせているだろう牛達の事を考えると、いてもたってもいられなくなる。
そんな日々が続いた。

数週間がたち、一旦、残してきた財産の整理のために、ほんのわずか帰宅を許されたとき。

沈んだ気持ちで真っ先に牛舎を覗いた父親は驚いた。
牛達は、そこにいなかった。
鍵の開いた片隅の鉄の扉が、中からひっそりと押し開けられていた。
「ああ…。」
父親は息子を叱らなかった。

牛達の姿はどこにもみえなかった。
まだ雪や泥や瓦礫にまみれたこの場所で、牛達がどうしているのか。外にも食べる物はなかろう。生きているのだろうか。
わからないが、祈らずにはいられなかった。
彼らが知っているのはそこまで。


さらにその後しばらくして、防護服をまとった自衛隊員が、船で海岸線を通っていたとき。
まだ人も歩けない崩れた海岸線に、まるでどこかの国の野生の山羊たちのような、黒や黒白の大きな生き物の群れを見つけた。

牛?牛の群れだ。
しかも、ずいぶん大きな群れ。

牛達は、ゆっくりと同じ方向に歩みながら、一心不乱に地面の何かを食べているように見える。
何を食べているんだろう?
こんな瓦礫の中?

双眼鏡で牛達を見る。
だがどう見ても、牛達は瓦礫そのものを食べているようにしか見えない。
瓦礫を??
崩れた建物、倒れた大木、コンクリート、ひっくり返った車。
黙々と、粛々と、食べるのを止めない牛達。
そんなばかな?

数十、いや、よく見ると数百頭の牛の姿があった。
彼ら彼女らの、ゆっくりとした歩みの後ろ側、通り過ぎてきた場所に双眼鏡を向け、彼はさらに眉間にしわを寄せた。
何か違う。

くすぶったモノトーンの世界をゆっくり進む牛達の、その後ろには、淡い緑色が加わっているように見える。
…草の芽?

牛達は、ゆっくりと瓦礫を食べ、ゆっくりと糞をして、そこから緑の小さな芽が、驚くべき速さで出てきているのだ。
もっと後ろを見ると、緑はさらに濃くなっている。
踏みしだかれ噛み砕かれた大地をまるく覆うように、緑の絨毯が広がっている。

黒や黒白の粒々となって散らばる牛達を境に始まる緑は、歩みとともに、とてもゆっくりと、いや、とても早くなのか?その面積を広げている。
ずっと後ろの濃い緑になった大地には、木の芽まで吹き出している。
鳥が飛んでいる。
花が咲いている。
日差しが甘くほころんでいる。

双眼鏡の画面が震え、自分の涙に滲んだ。
思わず両手を合わせようとしたために、霞んだ世界も足元にがちゃんと落ちた。
深々と頭を下げ、また上げたときには、そこに牛達の姿はなかった。
広がるのはモノトーンの世界。
だが、風に乗って、幽かな青草の匂いを確かに嗅いだ、と、彼は言っていた。






なんて。

今年はそんなエイプリルフールにしてみました。
by ushimaton | 2011-04-01 00:25 | つらつら

いちねんたった

関東は春一番が吹きもした。
20度に届かんばかりに暖かくなったあと、また雪が降ったりして、一進一退しながらじわじわと匍匐前進で春に近づいているところであります。

ここにやって来てから、今日でちょうど丸一年。
一年たったよー。

いろいろあるけど、楽しくやっていきたいと思いまっする。

みなさんありがとう。



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by ushimaton | 2011-03-02 21:44 | つらつら

ほらね


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雪も降ったりするけれど。

朝方には水たまりも氷でバキバキになっているけれど。
by ushimaton | 2011-02-16 20:51 | つらつら

春はまだか

なんか笑えた、牛舎のある日。↓

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いちおうこの地区の天気予報というのを見ても、最低気温はマイナスに届いていないはずなのだが、何日か続けて水道凍結(-_-;)
ちょっと内陸に入っただけで気温って違うのだろうな。

連日氷点下が当たり前の北海道に生まれ育って、こんなヌルい気温であーだこーだ言うのも恥ずかしいが、でも、寒い(笑)
断熱効果のない内地の建物と、ちっとも暖かくならないエアコンの暖房にはがっかりだぜ(笑)
北海道民は室内の寒さに弱い。
といっても、ほんの一世代上、つまり自分の両親の代だと、子供の頃は布団が凍っていただの隙間から雪が吹き込んだだのという思い出話の世界になるのにね。

そんな冬ですが。
昨日は節分。
節分が過ぎると春ですってよ。

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節分よりもちょっと前だけど、この前行った『牛天神』に、お札を買いに行ったらば。
梅の花が咲きほこっておりました。
さすが、菅原道真ゆかりの天神様でございます。

風に乗って、ほんの幽かにふわんと香る。
冬の空気は冷たくてどこか無機質なので、花の香りがひときわいとおしい。

春は来るよ、もうすぐ。

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ああ、それにつけても腰が痛い…(T_T)

「いつかくるかな」と思いながらも、まだ痛くならない、と毎日30キロくらいの餌のかごを持ち上げて給餌していたら、本日一気に来た。
あほだなー自分。

農業と腰痛は切り離せない。
わかってやってるくせに、腰痛始まるといろいろ思考がネガティブになっちゃう。
う~。
by ushimaton | 2011-02-04 21:47 | つらつら

あけおめ、そして、うしびより5周年

あけましておめでとうございます。

みなさまに、たくさんの幸福が訪れますように。

今年も、よろしくお願いいたします。


…ところで、今年はわたくし、年女でございます。
12年に一度!待ってました!(ほんとか?)

ん~、いい事ありそう♪(*^-^*)
と、思ったら……
なんと、今年はまとん、厄年だったのでございました。
オーーーノオーーーー!!
ていうか去年も前厄だったんか~!(笑) もう過ぎたし!

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というのを、ほんのつい先日に、東京にある「牛天神」に行った時に初めて知った…笑

「牛天神」とは、菅原道真の牛をまつったありがたい神社。
狛犬ばりに社の左右を固めた牛の像の、なんともいいお姿♪
なんだろう、このやさしいおおらかな表情。
牛に、こんな表情をされてしまうと、なんだか自分が恥ずかしくなってしまいますわ。
牛の生命すら完全に自分の支配下であると錯覚して、でかい顔している人間。

この像を作ったのが人間であるとわかっていても。




そして、本日1月2日は、うし日和5周年なのであります!!

ひょえーー、もう5年だってよ!?

ちょっと最近はペースが落ちてしまったけれど、5年間。お付き合い下さった方々、本当にありがとうございました。
深い考えもなしに始めて、深い考えのないままとりとめない記事をつらねてばかりのブログだけれど。
このブログを通しての、とてもとてもすてきな出会いというのが、いまだに後を絶たないのでございますよ。
ほんとうにありがたい。ほんとうに嬉しい。
なんだか不思議。

ありがとうありがとう。


さて、5周年ということで、今回もちらっとうし日和を訪ねる人々~!

毎月ごとの、訪問者のここへたどり着いた検索ワードのトップ10がわかるようになっているのだが。
今年は4月以降の更新記事が軒並み一桁台でしかもなんだかよくわからないような記事も多かったりして(^^;)、検索エンジンから訪問した人はほとんど過去記事を訪ねて来ているらしく、あんまりおもしろい検索ワードはなかった…ちっ。

年間通してかなりの上位にいつも入っているのが、「ローピン」「ローピン レシピ」などのワード。
そ、そうであったか。ローピンがそんなに有名な食べ物であったなんて…。(一部の人には)

人気ワードなので、一応うちのアバウトすぎるレシピの記事はこちらどす
(毎年やってる…)

あと、季節で急激に増加するのが「ジャガイモ 斑点」。
家庭菜園のみなさま、5月頃には病気に悩んでおられるのですな。

去年一昨年から、なにげに多い検索ワードが「短い10両編成」だった。
なんだそら?と思っていたが、いまだにちらほらベスト10入りするので今ちょこっと自分も検索してみたら、「短い10両編成」というのは、都会のホームのアナウンスで田舎から出てきた人がカルチャーショックを受ける決まり文句のひとつでもあるらしい。
南の島に行く前に、経由地の東京で書いた記事だ。
全く何の役にも立たないと思うが…そもそも「短い10両編成」という検索ワード自体が特に役に立たないから、いいのかな(笑)

たまにふと現れる言葉「ワニ 正面」。
よく聞いて下さった。
私この写真大好きなんだぁ。
もう一回載せちゃおうww

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ね、おもしろいよね?(≧▽≦)


まあそんなで、新しい面白みにはちょっと欠けたけど(^^;)

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こんな私でも、細く長く、ずっと読んで下さった方々。
5年だよ5年!!
もう「旧友」と呼びたいくらいよ。

この5年のうちに、実際にお会いできた人々のなんと多かったこと(笑)

こんな支離滅裂なつぶやきブログに長いことお付き合いいただいて、どうもありがとう。
これからも細く長くよろしくね!

よい一年になりますように。


→いつでもどこでもごはん食べ歩き♪
 …じゃなくて、食べているうちに取っ手が回ってこんなになって慌てていたの図(爆)

  あ~かわいい♪
by ushimaton | 2011-01-02 22:26 | つらつら

今年もありがとう

おおう。
最近は記事更新がとってもスローになってしまって、なんだか自分が不本意。
っていううちに大晦日になってしまったのね。

なんだか不完全な感じの終盤になってしまいましたが、それでも読んでくださったかた、ありがとうございます。
今年一年もお世話になりました。

今年は、3月に関東に引っ越してきて、新たな牛飼い仕事に就き、こうしてここ関東で年越しを迎えている。
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本当は平日だけ通いで来てくれている寮母さんが、わざわざ年末年始の牛舎当番のために、おそばを作りに来てくれた!!

ありがとうございますーーーー!!!

おいしいおそばで、思いがけず「らしい」年越し。
さらに明日のためにおせちも用意して行ってくれた。
ありがたや~~~~


相も変わらず、いろんな人たちに迷惑をかけて支えてもらってな一年間。
どうもありがとうございました。


今年は、ブログでは長い付き合いだが会った事のなかった人たちと、昨年に引き続いて合う事の出来た年だった。
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クルミルクさん牧場にも伺った

そういちさんにもお会いできた。
yokuyaさんにはお世話になりっぱなし。

寺田本家聡美ちゃんともまた会えた♪

お蔵フェスタ楽しかったー


いろいろありましたが。

今の職場に面接を申し込んだ時、思ったのは
「一頭一頭の牛とじっくり向き合えるような付き合いをしてみたい。そういう環境の牧場というのを見てみたい」
というものだった。
たいてい、外部からスタッフを募集するような牧場は、大手だから(私は“実習生”の名のもとにほとんどお金を払わないような牧場とは縁がないので)、牛も何百頭もいたりして、もちろん一頭一頭なんて見分けがつくのは牛絵描きのとみちゃんくらいで(笑)、搾乳も機械的、淘汰も機械的。もちろん名前なんて知らない。番号で呼ぶだけ。
それはそれで良いのだが、それしか知らない自分だったために、そうじゃない牛飼いをしてみたかったのだ。
研究のための牧場というのも興味津々だったし。

で。働いてみてどうだったかというと…

今は、搾乳の時に扉が開いて、新しい牛が入ってきたとき、その足取りで、歩き方で、乳房の形で、
「あ、ラムちゃんだ。」
などと、大体の牛が、わかるのであります。
「えーと、ラムちゃんだから、番号は○○。お母さんはあの牛。前が先に搾り終わっちゃう。ストールでは割と人に近づくタイプ。フィステルがついてる。」
などと、芋づる式にいろんなことが浮かんでくる。
私などは細かいデータは何も知らないのだけど、知っている人ならもっと色々出てくる。
そういう牛飼いのしかたは、初めて。
それは、なかなか良い経験だ。
それぞれの牛の性格や行動パターンや癖がわかる。
「いきもの」としての認識ができる。

ペット感覚の動物愛護心でそれが体験したかったのではないのだけど。
でも、牛も生き物である、ということを、「かわいい牛さん」でもなく「ただの経済の道具」でもなく、ただの生物として知ってみたかったというか。
なんか、よくわかりませんが(笑)

つまり、そんな、新たな扉を開かせてもらって、とても良かった、と思うわけなのだ。


もうちょっといろいろ書きたかったのだけど、これから人工授精のお手伝いに行かねばならないので…。


みなさま。

今年も、本当に、ありがとうございました。
心から感謝します。


それでは良いお年を。

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by ushimaton | 2010-12-31 22:42 | つらつら

ひかりののはらを歩くのだ


クリスマスも普通に仕事だし~。
特にイベントもないし~。


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と思っていたら、前回記事でもお世話になっている畑作農家さんファミリーが、クリスマスの夜にイルミネーションに連れて行ってくれたー!!
わざわざ仕事が終わるのを待っていてくれて、迎えに来てくれた。
ありがとう…(T_T)


よくあるような、建物やオブジェのイルミネーションと違って、広ーい敷地の芝生の地面をイルミネーションで覆っているのだ。
光の中を通る木製の通路と、そこを歩く人々が、真っ黒なシルエットになって見える。
それも、きれい。
今までに体験したことのないようなイルミネーションだった。
感動!!!


さらに、帰りにはこっちでは初めての温泉に入って、冷え切った体を解凍ー。
天国じゃー。
さらにさらに、お食事とビールもいただいてしまった。
「忘年会のかわりになるかな?」
なったなった。

残りわずかな今年を、ぽかぽかにしてくださって、本当にありがとうでした♪
by ushimaton | 2010-12-28 22:22 | つらつら

コロッケと落花ぶち

週末当番だった先週、お友達のyokuyaさんご一家から、
「お仕事の後でコロッケパーティーに来ませんか?」
と、嬉しいお誘いをいただいた。
わーいコロッケ!!
まとんコロッケ大好きナリよ!!(←コロ助?)

お惣菜屋さんなどでコロッケを買いたいと思うことって実はほとんどないのだが、手作りコロッケはほんとに好きナリ。
売っているものと作ったものでまったく違う料理っていくつかあるが、コロッケもそのひとつだと思う。
実家に帰って母親に食べたいものを訊かれると、かなりの高確率で「コロッケ」とお願いするナリ。
(もうナリはいいナリ)

f0032403_17401568.jpg仕事がちょっと遅くなってしまい、到着した時にはとっくに出来上がってお待たせしてしまっていた…ご、ごめんなさい(汗)
家族みんなで作ったみたい。
なんか、いいね、そういうの(*^o^*)
…って、大人4人で、作った総数54個って!!!
しかもひとつが結構でかい。
(「これでもかなり小さめにした」そうだが)

これは、yokuyaご一家も相当なコロッケイーターと見た。
っていうか毎年「コロッケパーティー」をしている段階で、それは間違いないのだ。

じゃがいもの味がほっくりおいしくて、ついついどんどん手が出るコロッケ♪
そのほか、やっぱりいつもながらに料理のとっても上手な奥さまの、新鮮野菜たっぷりの料理あれこれもおいしかった~。

「うーん、お腹いっぱい。昔はもっと食べられたのになぁ。」
って息子さん、8個も食べたら充分ですからっ!!!

またしても、美味しい麦酒と日本酒とワインをいただき、お腹も気持ちも嬉しい晩餐でありました。


その晩は泊めていただいて、代休である翌日は、しっかり持参したツナギを着て手ぬぐいを首に巻き、文句なしの野良仕事姿になって、通勤通学の人々と一緒のバスに乗り込んで…

f0032403_17514498.jpgお久しぶり!の、畑農家のSさんの農作業のお手伝いにまっすぐ向かったのだ。

これ、何の機械で何の作業をしているか、すぐに当てた人はそうはおるまい。
あ、タイトルに書いたか(笑)

「落花ぶち」という、落花生の脱穀作業だったのだ。

春くらいに記事で「これは何でしょう?」と問題を出した作物。
落花生でありました。

予定では、開花やら収穫やらを順次載せていくつもりだったのだが、本業の牛飼いが多忙と体力的限界を極めてしまい、さらにタイミング悪く当番で、次に見たらもう脱穀だった…(^^;)

「かなり汚れるというか、ホコリがすごいから、その準備はしておいて。」
と言われていたので、まあこんなもんで、とツナギにヤッケに手袋とキャップ帽、というノーマルな準備で行ったのだが、それを見るなりSさんの奥様が、
「私も後から行くけど、本当にホコリがすごいから、この帽子かぶって、目の上と下はタオルとハンカチで覆って、首もガードしてね。それでも入っちゃうけどね。」
と、沢山のタオルやら帽子やらを貸してくれた。

ど、どんな作業…。


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そんなわけで、こんなになってやってみました( ̄∀ ̄)

デメンの銀行強盗やで~。


しばらく前に収穫した落花生たちは、「ボッチ」という小山に積み上げられ、シートをかけられ、集められていた。
北海道でも他の豆類(落花生も豆ですから)で作っているのをよく見かける、巨大たこ焼きのような海坊主ならぬ畑坊主のような、あれ。
それを写真の脱穀機に放り込んで、風で実と枝葉に分ける。
機械のおなかの所から実が落ちてきて、枝葉はその向こうに飛んでいく。

「機械のところに持ってきたボッチがなくなってきたら、そのトラクターで新しいボッチ運んで来て。」
「わ、私が!?うわー、運転覚えてない!っていうかもう車の運転をずっとしていないから覚えていない!」
「大丈夫、乗ったら出来るよ。」
「ひょえーー!」

ドキドキしながら、もたもたとボッチを運んだ。
どうにかできた。
「うまいじゃん、大丈夫。」
5倍くらい時間かかって運んだのに…やさすぃお言葉(T_T)

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少しずつ慣れて、機械とトラクターを行ったり来たりしながらの作業をした。

こんな落花生の山が……


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こんなになるのだった。



膝をついて、中腰になって、うろちょろの繰り返し。
「疲れたでしょ?」
確かに、終わってほっとしたらどさっと疲労感が出た。
だけど、気分は軽い。「疲れた」とはちょっと違うのだ。

もちろん、優しく楽しい人たちとの作業だからというのもあるけれど。

なんというのか。「人の手」が関わると、こんな風に人に優しくなるんだなあ、と思った。

大規模な農業の大規模な作業だと、おそらくこれとはまるっきり違ったやり方になっているのだろうと思う。
たぶん大型トラクターでザラザラーっと巨大な機械に原料を投入して、それが自動的に脱穀されてドンドンドンドン出てくる。そのラインに立って、人が流れてくるのを選別したり運んだりするんだろう。
言ってみると、機械に合わせて人間が動く。
ものすごく効率はいい。

だけど、「機械に合わせる」時の独特な焦りと疲労感が、このときの疲労感にはあまり混じっていなかった。
脱穀機に放り込む係の人も、いちいち他の人の状況を見てやっているわけではない、としても、それでも何かが違うんだ。
なんだか不思議な感覚だった。
人の手、というものを感じた。

ささやかかもしれないけど、はっきりと新しい感触。
なんだかそれだけでも新鮮で、良かった。




まとんは、こうして、優しくてうれしい人々のおかげで、生きておるのでありまする。

ありがたや。
by ushimaton | 2010-12-12 18:44 | つらつら

思い立ったが深夜バス。

夏前からずーっと治らない湿疹で、ほとんど毎週のように皮膚科に通う日々が半年ほど続いていた。
なかなか良くならないので手を変え薬を変え、色々試していたのだ。
薬を変えると、様子を見るために翌週も行かねばならない。
かくして、まとんの休日は皮膚科にばかり注ぎ込まれることになってしまっていた。

なにしろ患者の多い病院で、午前中に受付しても、診てもらえるのは午後2時3時なので、その日はほとんどそれしか出来ない。
強い薬が出ると、確かに効くのだが、副作用のだるさや眠気がひどすぎて仕事に支障が出てしまうため、飲まなくなって怒られたり。
ステロイドをやめて、アトピーの新薬にしてみたら、これも効きそうではあったが、やっぱり副作用のほてりとかゆみがひどすぎて夜も一睡も出来なくなり、仕事に支障が出そうなので使わなくなって怒られたり。
日中は、汗と埃と乾草できな粉もちのきな粉のようにまぶされるため、薬は夜しかつけられないという難点もあり、苦戦するのだ。

それにしても、湿疹が出始めてからこっち、どこへ出かけるときでも一度も化粧をしなくなってしまった。(もともとあんまりしない人間なので)
この猛暑で、まとんの化粧品はみんな腐ってしまっているんではないか、と、ちょっと本気で気になっている。
ま、いいか。

ともかく、それがようやく、湿疹が良くなった…わけではなく(^^;)
色々試したけど、薬や環境との関連性がわからぬまま、まとんの湿疹はまったく気ままに出たり出なくなったりであまり変わらず。でもまあなんとなくそれはそれで、今はそこまでひどくはなってないし、という感じで、もう今の薬でしばらくやってみましょう、と(笑)

それで、次の病院が一ヵ月後になって。
嬉しくなっちゃって、思いつきで夜行バスに乗って愛知に行ってまいりました(爆)

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愛知には弟その一が住んでいる。
私とは二つ違い。
たまーに遊びに行くので、記事にも何度も登場してるけど。

立派にサラリーマンしている弟は、毎年必ず盆と正月には実家に帰るが、いい加減な私はほとんどそういう時期には帰っていないので、すれ違いで全然会わなかったりするのだ。
次の正月も牛舎で牛とともに送ることになっているしね( ̄∀ ̄)

だから、正月ぶんも飲み会してきたぜ。たった二人でだが(笑)

まとん4姉弟はみんな歳が近いので、大人になってからはわりかしいい話し相手になったりしている。
子供の頃は毎日喧嘩してたけどねー。

立派になった弟は、そんなわけで急に思い立ってノコノコ遊びに来た姉をちゃんとかまってくれた。
夜行バスは朝6時前に到着だったのだが迎えに来てくれた。
そのまま「紅葉が見たい」という姉のリクエストに応えて、3時間のドライブで琵琶湖のほとり、比叡山にドライブに行ったのだった。

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火事だ~~!


「本州の紅葉は北海道と違って赤と黄色のバランスがよく、鮮やかだ」
と、みっちゃんが何度か言っていたのがずーっと忘れられず、こっちにいるうちに行きたいと思っていたのだ。

うん、素敵だった。

確かに北海道にはないワビサビ。
歴史ある場所というのはやっぱりなんか違う、のかな?
植生自体が違うっちゃあそれまでだけどさ(笑)

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土日の二日間を使っての強行訪問だったので、滞在は1日ちょいのバタバタ。
一泊して日曜の昼前にはもうバスに乗った。
新幹線に乗れば、2時間くらいで着くものを。バスだと7時間。
オトナになって新幹線に乗るべきだったんだろうか、と後で思った。
帰った翌朝は4時から搾乳だったしな(^^;)

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比叡山名物は、おそば。
京都らしく(?)「ゆばそば」頼んでみた。
おいしおす~。



f0032403_21352978.jpg特に何かあるわけでも何をするわけでもなくとも、会えるうちに会っておくというのは、実はけっこういい事なのかもしれないと思ったりする。
実家住まいの学生の頃は全然そんな風には思わなかったけど。

7年ほど前は、首都圏に私と弟と父がそれぞれ仕事でバラバラ住んでいて(埼玉・東京・千葉)、ちょくちょく会っては飲み会をしたもんだっけ。
はしゃいでいるアホな写真があるな。
そういえば、父と弟その一と私、の組み合わせは意外と多いかも。
私がオホーツク沿いの町に住んでいた時にも、この二人が揃って遊びに来て、やっぱりはしゃいでアホな写真撮ったな…。

なんでもかんでも家族優先な我が家がイヤだったお年頃もあったけど。
仲が悪いよりは、この方がずっといいのかもな。

今回の愛知襲撃の収穫。
本州の紅葉は確かにきれい。
バランスボールが気に入った。
「はやぶさ」のことがちょっとだけわかった(テレビとかニュースとかまったく見ていないので、探査機「はやぶさ」のことをほとんど何も知らなかったっす…)。
↑バランスボールでゴロゴロしながら「はやぶさ」の本を読んだ。


世話をかけたな、弟よ。


先週じゃなくて先々週のことなので、もうとっくに紅葉は終わっているのでありましょうな。
by ushimaton | 2010-12-07 22:12 | つらつら

おにゆず

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アラームの鳴る午前3時半。
まだまだ真っ暗な今では、世の中はすっかり「深夜」のカテゴリーの中だ。

だけど、耳を澄ますと聞こえる。
新聞配達の原付バイクの、かわいらしいボロロロロという音。
夜通し走りつづけてここを通りかかった、大きなトラックの音。

そして、私も起きる。


早朝からすでに全身着替えるほどに汗だくになっていたのが嘘のように寒い。
タートルネックをつなぎの中に着て、ヤッケをつなぎの外に着て、防寒着を着て襟まで立てて出勤する。

牛は寝たり起きたりしている。
なんとなく、自分が起き抜けすぐに動くのがつらいので、牛もそうだろうかと余計なハカライをして、明々と電気をつけてこぼれた餌をがしゃがしゃ入れて、起きて食べに来るのを見てから、搾乳の支度をする。

朝の搾乳当番だけ、ラジオを聴きながらしてもよいことになっている。
ラジオは壊れてしまっているので、小さなスピーカーを持って行って搾乳中iPodをかけるのが、楽しみ。
夜明け前って、なんだか意外なくらいに空気が繊細で、賑やかな音楽だと強すぎて落ち着かない。
人間は牛舎に一人きりだから余計かも。
だから、enyaなんかをかける。

外は少しずつ明るくなってきて、終わったときには「深夜」は「早朝」を過ぎて「慌ただしい朝」になっている。

何事もなければ、朝ご飯を食べに一度寮に戻れる。

牛たちと私しか知らない時間を過ごした後。
頭の中ではせかせかと「朝ご飯食べて、10分くらい横になれるかな」などと考えたりしながら、まぶたをしょぼしょぼさせて、すっかり明るい外に出る。

と、自転車のカゴに、何か入っていた。
缶のミルクティーとリポビタンDだ。
警備員さんだ!
見回りか自販機の買い出しに立ち寄ったついでに、入れてくれたんだ。
うれしくて、胸がほかっとする。

自転車で走り始めたら、知らない車がやって来て止まった。
かつて、この職場にいたという方だった。

誰も気にしない、小道の脇の茂みに入っていく。
「オニユズの木だよ!」
でっか〜〜い!!
ゆず!!(@_@)
誰も見ていない葉陰に、子供の頭くらいの巨大ゆずが、じつはたくさん実っているのだ。

「昔、私がここに植えたんです。」

通りかかっただけなのに、おすそ分けもいただいてしまった。
うわ〜♪
いい香りー!
一つは警備員さんにあげた。
もう一つは、寮母さんにあげた。

長い歴史の中の、様々な人々と様々な環境。
この職場に、かつて、そっと木を植えてその成長を楽しむ人々、そんなやわらかな環境が、関係が、あったのだな。


早起きは三文の得、などと言うけれど。
早起きで、リポDとオニユズと、ちょっとじんわりな気持ちを得する日も、あるんだな。

そんな、とある秋の朝。
by ushimaton | 2010-11-25 22:21 | つらつら


気が小さいのに、珍しいものは好き。 道草を喰って、たまに反芻したり。 牛歩ではありますが。


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