飼育体験♪(長いよ)

哺乳類・偶蹄目・カバ科。
河馬と書いて、カバ。英名『hippopotamus』は、ギリシャ語のhippos(馬)とpotamos(河)を語源としている。
カウベルさんのおっしゃるとおり、カバは本当に偶蹄目だった。
偶は偶でも、牛のように蹄が2つなのではなく、4つ!
前の記事の写真を参照くだされ。

牛の仲間って幅広いんだねぇ…。


『大人の飼育係』の朝礼から、続き。

「Mさん。飼育員のYと一緒に、カバエランドの世話をお願いします。」

呼ばれて行ってみると、男性の多い飼育員の中に立っていた、ニコニコした若い女の人が、担当のYさんだった。
「よろしくお願いします。早速なんですが、カバの世話ってけっこう体力使うんですよ。それで、さっきのラジオ体操じゃ足りないから、ちょっとストレッチしていきましょう。」
そう言ってちょっと広い場所に行き、足を大きく広げてダイナミックなストレッチ運動を始める。
ひょっとしたら外仕事かもしれないのでとパンパンに着膨れていた私も、いそいそとその横で真似してストレッチをした。

「この、腱を伸ばすっていうのが実はすごく大事なんです。体を動かす前後でしっかり伸ばしておかないと、だんだん腱にダメージが来て、傷めちゃうんですって。私も自衛隊の頃は甘く見て何もしていなくて、傷めてから叱られちゃいましたよ。」
さっぱりした気持ちよい笑顔で話すYさん。
「自衛隊!?(@_@)」
「そうなんですよー。」

f0032403_21342185.jpgカバのドンドンは、この動物園のドン。(笑)

昭和四十何年からここにいるのだそうだ。
私よりも年上だー!
つまり、私が小さい頃にこの動物園に来て眺めたカバは、ドンドンだったのだね。

飼育員さんが入っていくと、甘えてでっかい口を開け、ごはんのおねだりをする。
でっかーーい!
「3トン半くらいあるんじゃないかなぁ。」とYさん。
ドンドン、あからさまな人見知りはしないが、何気に知らない人をチェックしている。
Yさんと一緒になってぺたぺた触っていたら、ちょっと引かれた(笑)
カバの触り心地は、濡れて空気が抜けた自転車のタイヤ、みたいな感じ。
分厚いけど、柔らかくもあり。
鼻の周りには太くて短いヒゲがピンピンピンと生えている。


お仕事はまず、カバ部屋の掃除から。
冬だから動物たちはほとんど屋内の檻にいる。
掃除の間だけ外に出し、二頭(ドンドンとそのムスメ)の部屋を、カバを入れ替えながら掃除するのだ。

f0032403_2248126.jpgカバのウンコは、牛のウンコをもっと繊維っぽくして、どっしり水気を吸って重量感を持たせたような感じ。
それをアルミのスコップでガシガシすくって、大きな一輪車に乗せていく。

オスは、縄張りの主張のために、ウンコを撒き散らす。
だからドンドンの部屋は壁までウンコ(笑)
床のウンコをさらったら、壁をスポンジなどでゴシゴシ。
仕事を始める前にピンと来て、上着もフリースもみんな脱いで仕事を始めて正解♪
ほんのりほどよく汗ばんでくる。

そうしているうちに水槽の水が抜け、お次は水槽に沈んでいたウンコもさらって、最後にホースの水で流してピカピカ。
さすが動物園。ホースの水はすごい水圧で、消防士になったみたいだった(笑)

メスのザンちゃんは一ヶ所にまとめてウンコをするだけで、壁もきれい。
すっごく掃除が楽なのだ。
この違いがうちの犬みたいで面白い。

f0032403_2355837.jpgごはんは、乾草と固形のルーサン、にんじん、じゃがいも、塩などと、なんと好物のおから

「でも、実際の野生の動物って、イモとか人参なんて食べないじゃないですか。だから、動物園で何を食べさせているかって、あまり大事(な知ること)じゃないって思うんです。みんな知りたがるんですけどね。動物園によって餌も量もまるで違うし。」
とYさん。

Yさんは、ちょっと『狭間で揺れている』ような感じがする。
みんなに見てもらうために飼われている動物たち。だけど、動物たちの行動できる範囲は狭く、世話をするほどに動物たちが不憫にも思えてくる、というつらさみたいな。

「動物好きは、飼育員とかしない方がいいって思うんですよねー。」
と冗談っぽく笑う。だが、彼女の行動には愛情が溢れてもいる。
一般的に、動物は食事をすると眠ってしまう。動物園としては、眠っているよりも活動的な方がありがたいから、多くの動物園では給餌は一日一回、夜にすることが多いという。
だが、「本来なら一日中餌を食べている草食動物が、一日一回はきっと負担が大きいと思うんです。」と、彼女は何度かに分けて餌をあげているのだそうだ。

「自衛隊から転職して、飼育員になったんですか?」
「ううん。その前に、清掃局でごみの収集をやっていたんですよ。あはは、体力仕事ばっかりで。」
おぉ~。なんかすごい人だぞ。かっちょいいぞ。

台所のごみをビニール袋で何重にもきっちり縛って出されると、清掃車に入れたときに破裂して、清掃員の顔とかにかかったりして大変らしい。
みんなも気をつけよう!
「あと、生ごみの水気をよく切ってから出すと違います。」
とのアドバイスも。(笑)

そんなある日、「動物好きか?」と訊かれ、「好きです」と言ったら、動物園に異動になったらしい(笑)
「でも、普通そんなに「動物嫌いです。」なんて返事しないもんじゃないですか。(笑)」
と笑うYさん。
何気なくそんな会話をしていても、清掃の仕事も今の仕事も、色々考えながらしっかりやっているのが感じられて、とても好感が持てた。







担当する動物はもう一種類いた。

「ところで、エランドって、どういう動物なんですか?」
無知な私の基本的質問(^^;)

f0032403_23322135.jpg行ってみると、これまた好奇心旺盛で人懐っこい偶蹄目が、こっちに顔を突き出していたではありませんか♪
これがエランド。
カバと同じくアフリカ出身の生き物だ。
いや~~、べっぴんさんだこと☆
すらっとした角といい、やさしくて睫毛の長い目といい。
宮崎駿作品の『ヤックル』みたいだね~。
でも名前はハイミー(笑)

鼻でくんくんこっちの臭いをかいで、触って欲しくて頭を檻越しにすりすりしてくる。
めんこい。にゃまらめんこいぞぅ~(*´∀`*)
牛なんかと同じで、耳の後ろや首を掻くと喜ぶ。
(もう一頭のオスは、角が折れて切り取ってもらう時に人間に取り押さえられたのがトラウマで、触らせてくれなくなったのだそうだ ^^;)

エランドのごはんもカバとちょっと似ていた。
おからはなくて、粒餌やビタミンなどが何種類も加わる。
食べている間に、アーモンドチョコみたいなウンコを踏み潰される前に掃除掃除。
こちらの掃除は、カバに比べて簡単だ。
だが、ウンコを踏み潰されると砂の中から取り除くのが大変らしく、一日何度も掃除しなくてはならないのだそうだ。


f0032403_23475023.jpg歯磨き中。
気持ちがいいようで、自分から寄ってきて口を開け、おとなしく洗車ブラシで歯を磨いてもらっている。

カバの事なんて全く何も知らなかったし、エランドなんて存在も知らなかった(^^;)けど、いやはやカワイイもんだな~。

Yさんは、もっといろんな人にこうしてカバを触ったり歯を磨いたり、色々やってもらいたいのだそうだ。
だが日本の動物園の姿勢はどうしても、「120%安心じゃないと、やらない。」になってしまう。
たとえ犬や猫でも、120%安心な事なんて遠巻きに眺めるくらいなもの。
そこら辺にも葛藤というか、やりきれないものが出て来る。

眺めるだけなら、テレビの動物番組と何も違わない。
唯一感じられるのは、動物のにおい。
だが、遠くから動物を眺めて「くさーい。」と言ってさっと行ってしまう状況は、生きている動物を『感じる』やり方としては充分とは言えない。

わりとうまくいっている旭川の旭山動物園だが、同業者の人々には必ずしも評判が良いわけではないのだそうだ。
「そういうのって、おかしいですよね。いい物はいい、って、他の動物園でも素直に褒めればいいと思うんです。ここが理想的な環境ではないんだし。」
とYさん。
熱意と、しっかりした目と、動物と人への愛情が、小柄な体にいっぱい溢れている。

「今、この動物園もようやく動き始めたんです。まだプロジェクトの話し合い段階ですが、もし実現したらすごいのができると思ってるんです。うまくいくなら、札幌からいじめだとか色んな問題が減って、大人も子供も変わっていくような、そういうこと、出来るんじゃないかと思うんです。」

そういうの、できたら素敵だねー。
私も何か手伝えるかな?


f0032403_083316.jpg午後から動物病院見学&体験。
一通りの施設の説明や動物園の動物たち、獣医さんの仕事を見せていただく。
人間の病院と同じようなエコー検査の機械もあって、
「妊娠した動物の赤ちゃんの状態を見たりするのにも使う。」
とのこと。
これが牧場にもあったら、あらかじめ双子とかわかっていいのになぁ~…。
などと思いながら見たり(笑)

大型の動物を治療する時の『吹き矢』をやらせてもらった。
筒に、麻酔薬を仕込んだ注射器をセットし、フッと吹いて動物のお尻に命中させるのだ。

ぬいぐるみ目がけてプッ!と吹いたら、私も見事に命中~!
よし、これでレンジャーになれるな、自分。(無理)

f0032403_014145.jpg保護したり、連れて来られた野鳥たちの餌メモのホワイトボードがあった。

一日で、ひよこ41羽が必要なのね。(^^;)

ヒヨコは冷凍してしまってあるらしいのだが、他の肉食の動物の餌で、ねずみなどをあげる場合、生きた状態であげる動物と、死んだ状態であげねばならない動物がいるらしい。
実際の飼育員の仕事としては、餌のねずみを「死んだ状態にする」っていうのもあるのだ。

動物の世話、って、キレイでカワイイことばかりじゃない。っていうか、キレイでカワイイことじゃない。
『飼育係体験』で、ただ触ったり餌をやったりの“おいしいとこ取り”だったらつまらないなぁ、と思っていたので、今回はけっこう面白くて良かった。
(でもねずみ係でもなくてよかったかも^^;)
もちろん、やらせていただいたのはほんの一部の仕事だったんだけど。


f0032403_022352.jpg





←あ。
プリンペラン。(笑)

by ushimaton | 2007-03-01 00:35 | つらつら


気が小さいのに、珍しいものは好き。 道草を喰って、たまに反芻したり。 牛歩ではありますが。


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