モヨロ貝塚

ちょっと前の話になったのだが。

ホタテ養殖の仕事を終え、無事に知床を横断した後で小清水の人たちに会う前に、少し時間が出来た。

ホタテの仕事をしている間、時間があると司馬遼太郎の『街道をゆく』を読んでいた、という記事を書いた。
読みながら、「帰りはオホーツク文化の遺跡を回るぞ!」と一人で盛り上がって、実際に知床自然センターまで行ったとき、そこの人たちに聞いてみた。
「この辺はオホーツク文化の遺跡が沢山あると聞いたんですが、見学できる遺跡はありますか?」
「あー、今はないですねぇ。」「ちょっと前まで、ドコモのFOMAのアンテナを立てる工事で遺跡を掘り出しちゃって、しばらく調査してたんですけど。」
ガーン、そうか…。
発掘中だけでなく、ただ見ることのできる場所もないのだとか。
カウンターにいた女の人がニコニコしながら言った。
「私の家、斜里町なんですけど、子供がよく矢じりとか石器を拾って持ってくるんですよ。『畑で見つけた』って。本当にこの辺、遺跡が多いんですね。」
ひゃー。そうかぁ。大昔から人が住んでいたんだなぁ。

…と残念ながら知床半島沿岸では遺跡を見ずに来たのだが(時間もほとんどなかったし)、網走に着いた時、数時間の空き時間を利用して、ここへ行ってきた。

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モヨロ貝塚
以前から名前は知っていたが、本を読んでようやく実はこれが考古学的にとても重要な遺跡だったと知り、知ったら急に行ってみたくなったのだ。

モヨロ貝塚は、大正時代に、熱心なアマチュア考古学者の米村喜男衛氏が発見した。
米村氏は理髪店を営みつつ発掘・研究を重ね、素晴らしい功績を残したのだそうだ。
この地にははるか昔からの、縄文人、ギリヤーク人、アイヌ人などの生活の痕跡がたくさん残されていた。遺跡に現れた、どの文化とも異なった生活様式から、オホーツク海沿岸に暮らしていた人々の「オホーツク文化」というものが明らかになった。
(舌足らずな説明で失礼)

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前日の半島徒歩横断のダメージ残る足でフラフラ歩いて、網走駅前からモヨロ貝塚へ。
思ったよりも規模は大きくなく、少し小高い丘をぐるりとフェンスで囲んである場所だった。
細い道が伸びていて、たどっていくとすぐ、発掘中らしき遺跡が見えてきた。
竪穴式住居跡の横には、オホーツク人の住居の復元したものがあった(写真)。
その先にちょっとした建物『モヨロ貝塚館』があり、ひっそりと貝塚の発掘物と歴史を展示していた。
ここで発掘された物の多くは、市内のもうひとつの博物館に展示されているのだそうだ。
時間があればそこにも行ってみたかったが、いやはや、時間なんてとてもとてもとても…足りなかったっすね、どこのどの訪問も(^^;)

ひっそりとした貝塚館を見渡して出てきたら、職員のおじさんが館の前に出てきていた。
「ありがとうございました」と話しかけ、ふと館の横を見ると、ちょっとした平らな空間いっぱいにシートが敷かれ、何人かの人がなにやら作業をしている。
「遺跡の発掘の仕事ですか?」
「そうですよ。近くへ行ってもかまいませんよ。」

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なにやら、土のような、石のような、ガレキのような、違うようなものたちが並んでいる。
なんだべ?これ?

ドキドキしつつ、手前で作業している女の人に声をかけてみた。
「これは何をしているんですか?」
どうやらどこかの大学の学生か研究生だったらしい彼女は、カメラをぶら下げてリュックを背負った、うざったい「やじうま観光客」姿の私に、親切に説明をしてくれた。
「色々な場所から採集した土壌を、水で洗い流して比重の違うものを分けるんです。軽い部分には食べていた生き物の骨が入っているし、重い部分には石器などが混じっているんですよ。」

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なるほど、よく見たら骨だ。
作業の手を止め、小さなかけらを拾っては
「これは鳥のくちばしですね。これは海獣、アザラシか何か…」などと教えてくれた。
「昔の人は、今の私たちよりもいい物を食べていたみたいですよ。」(笑)

オホーツク文化は狩猟、採取文化だった。農耕をする必要がないほど、食べ物が豊富だったからだという。

「貝塚」というと「昔の人のゴミ捨て場」というイメージだったが、実際はそういう訳ではないらしい。
生活の跡そのもの。住居もあるし、お墓もある。お墓は決して、ゴミ捨て場にあったわけではないのだとか。

f0032403_21523210.jpg
「土に炭が混じっていると、炉のあった場所がわかります。食べた獣の骨は、その部位によって骨を捨てる場所が家の北、南などと違っていました。」
中でも熊の骨は、他の生き物の骨とは扱いが違ったのだという。

「人の骨が出てくると、そこはお墓だったとわかります。そうしたらあらためてその場所をきちんと発掘していくことになるんですが…今回、そこからも、出てきちゃったんですよ。」
と言いながら、お姉さんが笑った。
発掘していた場所というのは、私たちのすぐ背後、貝塚館の前だ。今はブルーシートがかぶせてあった。
そうか、ここ、お墓だったんだ……(-_-;)

どうもありがとう、お姉さん。
関係ないけど彼女、友達のW松氏(男・カナダ在住・けっこうごつい)に顔が似ていて、顔を上げた瞬間に思わず無言で目を見開いてしまったよ( ̄〇 ̄;)
でもいい人だった(でもって何だ)

この話をしばらくあっためていた(?)のは、一緒に他の話も書こうかと思っていたからなのだけど、長くなりそうだからやっぱり分離しようっと(笑)
by ushimaton | 2006-11-18 22:31 | 旅のそら


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