伝えて来てけれ

年末に札幌に一時帰省するため、フェリーに乗り込んだところで、電話が鳴った。
石巻で一緒に活動している現地メンバーのSさん。

「いままでずっと休まずやっててくれたから、とにかくゆっくり休んできてな。」
Sさんは平日ずっと他で仕事しているのだが、休日である土曜日、都合のつく限り、私たちのところに来て送迎のボランティアをしてくれている。

「やっぱり、自分の家で飯食って布団で寝るのって、違うと思うんだよな。うちは何もかも無くしたから、したくてもできねえし、だから、できる人にはしてきてほしいって思うんだ。」
Sさんの家は、崖を駆け上ってきた津波に根こそぎ流され、今は土台しか残っていない。
そこに家があったことも、かろうじてわかるくらい。

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「そいでさあ、そっち帰ったら、周りの人に伝えてほしんだ。こっちがどんなことになってるとか。身近な人から言われるのってやっぱり違うと思うから。」

今まで私も、手伝いに来てくれたたくさんの人たちに、同じことをお願いしてきた。
「テレビや写真集で見るのと、実際に自分の身近な人の口から聞くのって絶対違うと思うから、家に帰ったら身近な人にここでの経験や思ったことを伝えて下さい。」

被災地に行って、めちゃくちゃに壊れた光景を見て、「うわーすごい」といって写真を撮りまくる人々に、私は不快感を覚える。
よくたとえ話で言うのだけど、
「たとえば車が正面衝突して道路脇にくちゃくちゃになっている姿を見て、『うわーすげえ、ぐちゃぐちゃだ!一家4人が即死だってよ!』と言いながらその車の写真を撮ったりしますか?そういう人のことどう思います?」
震災の写真集を買い集め、さらりと「この辺りは全滅」などと解説してまわったり、来たばかりの人や視察に来た人に「被災のひどいところ見るツアーに連れて行くよ。」などと嬉しそうに(見える)観光に連れて行ったりする人。そういうのも大嫌い。

だけど、写真を撮ること、被災地を見ることそのものを、悪いことだと断じるつもりもない。
ある意味では、撮ってほしいし見てほしい。
見るべきだ、とも思う。

「何が違うんだよ。」
と言われるかもしれないけど。
その違いって、言葉でうまく言えないけど、でも違いはある。

写真集を見たら、津波で木の葉みたいにざらざら流れている自動車がたくさん写っていた。
ブレーキランプがついてる。
中に人がいる。水に浮かびながら、ブレーキを踏んでいる。
その写真を見ながら、死に向かっている人々が写っていること、その茶色い濁水の下に、さらに沢山の人や犬や猫が呑み込まれていることに、どうして気が付かないんだろう。

どんな場面でも、必要なのは、ちょっとの想像力。

だから、話をすることが大切。
身近にいる人の口から。カメラマンでもない、知っている人から。
シャッターを押す時に居たたまれないためらいがあったその写真だから、意味がある。
ため息を漏らした口だから、意味がある。

でも、意外と難しい。
「被災地にボランティアで行ってるの?えらいねぇ~。」
と言われてしまうと、気持ちが後ろに引っ込んでしまう。
「ボランティア面する奴らむかつく」
という言葉を聞いても、口をつぐんでしまう。
「もう被災地の映像とか見たくない」
とテレビのチャンネルをバラエティーに変える手を押さえることはできない。

私にもできると思ったのになあ。
どれだけ、伝えられているかなあ。
耳をふさぐ人の耳に。
目をそらす人の目に。


4月の頭に被災地に入って、毎日毎日地震が続いて、とにかく夢中で動きながら、半分本気で
「生きて戻れるか自信ないなあ」
と思っていた。
生きて戻ったとしても、自分の持ち物まですべて無事に戻るかわからないなあ、と思った。
それで、5月に川崎のいとこのところに、カメラのSDカードを預けてきた。
少なくともこれで、私よりはこいつ(このカード)の方が無事にいることだろう。と。
撮った写真はそんなに多くはなかったけれど。

シャッターを押す時の何とも言えない苦い思いと、
「これは、見せなくては」
という思いを、おぼえている。
でも実際は難しい。
だけど、載せよう。

そこまで考えて見せたところで、テレビや写真集でこんなのいくらでも見た!なんて感想なのかもしれないけれど。

見たくない人は見ないでください。









道の脇に「落ちている」、家の2階部分。
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仙台方面に物資を運んだ時の道。
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避難所になっている小学校のプール
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避難所になっている中学校の一階。
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学校は、最上階の窓までがすべて抜け去り、樹が刺さっていた。
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動画もひとつアップした。
Youtubeで限定公開。こちらをクリック
by ushimaton | 2012-01-05 17:31 | 東日本大震災


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