うしのおなかの宇宙探検

f0032403_1336568.jpgうしうし基本教室。

牛といえば、日本で代表的なのは、白黒模様のホルスタイン。
ホルスタインは、乳牛。

「乳牛は、オトナになったら、お乳が大きくなって牛乳が出てくるようになっている。」
と思っている人、手を上げて~。

つまり、生まれた子牛を育てて大人にして、乳が出るようになったら搾るのが酪農、と。
ちなみに私も、自分が何の因果か酪農にかかわるようになる前は、なんとなくそんなイメージしか持っていなかった。

しかしですな。
よく考えると、そんな哺乳動物はおらんのであります。

どんな生き物も、うしも、まずは当たり前だけどメスしか乳は出せない。
そして、メスだとしても、子供を産まないと乳は出ない。
それから、メスしか産まないなんてことはありえない。

つまり、白黒模様のホルスタインを育てて、まずは子牛を産ませる。
産んだ母さん牛は、牛乳が出るようになる。それを搾る。
産まれた子牛がメスだったら、基本的には育ててお母さん牛にして搾る。
オスだったら、牛乳は搾れない。だから、肉用に育てられ、スーパーの「国産牛」シールを貼ったパックに入る。


当たり前だけど、大人になった牛を黙って眺めていると子牛を産む、なんてことはない。
牛だって、いわゆる交尾をしないと子供はできない。
でも、交尾はしないよ。ほとんどの場合。
どうするかというと、「人工授精」というやつを代わりに行うのだ。

牛の妊娠期間は人間とほぼ同じ8ヶ月。
人間と同じで、メスが卵巣から排卵して受精の適期にならないと受精して妊娠しない。
ここでは人間と違って、牛はその適期になると「発情」をしてそれを知らせる。
オス牛がいるところならオス牛は張り切る。ほとんどの牧場のようにオス牛のいないところなら、人間が人工授精をする。

その、人工授精というやつ。

これを初めて見たときは、驚いた~。

受精師さんが、「直検手袋」という、肩まですっぽり覆う大きなビニールの使い捨て手袋をつけて、牛の背後に回り、牛のおしりの穴から肩まで手を突っ込んでしまうのだ。
直検、つまり直腸検査といって、腸の壁ごしに、その下にある牛の子宮を触って状態を診るのだ。

人の手が肩まですっぽり入ってしまう牛の腸って!!(@0@;)
肩まで埋没させながら「うーん、左だな。」とか「まだちょっと早いな。」とか言ってるし!!(?_?;)

f0032403_14284755.jpg写真がないので、岐阜大学動物病院のHPからお借りした画像。

牛は普通~にのっそり立ってくちゃくちゃ反芻していたりする。
「牛のおなかの中、おしりの向こうは宇宙になってるんだと思うな。」
と、いつもしみじみとつぶやく私なのだった。


そんなある日。
発情牛の直検をしていた職場の人が、
「手、入れてみます?」
と言ってきた。
「えええ、だ、大丈夫なんですか??」
謎に包まれた、肛門の向こうの禁断の宇宙空間に、私のような無防備な素人が踏み込んでしまって、肩から向こうが謎の4次元空間とかに取り込まれてしまったりしないのであろうか。

びびりながら、手袋をはめる。
直検手袋自体は初めてではない。
昔、料理をしていて指をスパッとやってしまい、「お前は料理に自分の指入れるのか!?」とからかわれながら病院で4針ほど縫ってもらい、翌朝からの搾乳の時にこの手袋を使わせてもらっていた(笑)

そしてまとんは禁断の宇宙空間に手を差し入れたのであった。

むむむ。
肛門の括約筋は力強いので、腕がぎゅーっと締め付けられて血が止まりそう。
その向こうの空間は、…広い…。
ほら穴みたいだ。うわぁ。
あったかい。
ぶよりんぶよりんしている。
ちょっとざらついたペースト状の物質が邪魔をしてる。
直検している人の真似をして、私もその邪魔な宇宙物質すなわちウンコをペッペッとかき出し、またやり直し。

どこもかしこもぶよりんぶよりん。
でも、言われてずーっとそのぶよぶよ壁を探っていると、その向こうに確かにほんのりと何かがあるのが少しずつわかってきた。
ぽよぽよしている膀胱。
真ん中に一本の縦筋のくぼみがある、子宮。その手前に子宮頚管。
でも、言われればなんとなくわかる、という程度。素人なもんで^^;

人工授精をする人は、この腸壁越しに子宮頚管を「握り」、長い細いストローを通して子宮に精子を送り込むのだ。
すげえなあ。

人工授精用の精子は、種牛から採取されたものを一回分ずつストローに入れて冷凍し、液体窒素の中に漬けられた状態で売買され、保存されている。
液体窒素は小さなタンクのような容器に入っている。

南の島にいた頃、運転免許を本島で取って船で島に帰るとき、親方に
「液体窒素買ってきてくれ」
と頼まれ、言われたドライアイスなどを扱っている会社に行って
「あのー、液体窒素下さい。」
とシュールなおつかいをしたことがあったな。


そんなわけで、まとんの腕は宇宙人に持っていかれることもなく、無事に牛のおなかから帰還した。
by ushimaton | 2011-01-10 15:12 | ウシ話


気が小さいのに、珍しいものは好き。 道草を喰って、たまに反芻したり。 牛歩ではありますが。


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