詩と科学と地球と火星と

小学生の頃。
今は全く見かけないが、その頃あのチョコレートドリンク?の『ミロ』は、
インスタントコーヒーのような大きなビンに入って売っていた。
そのプラスチックのふたをカッターで切り抜き、ミロのラベルの上から油性マジックできったなーーい字で、
『ぼうえんきょうちょきんばこ』と書いて持っていた。
子供の貯金なんてたかが知れているんだけど、大人も協力して小銭を入れてくれたりして。

あるとき、買い物帰りの母親が、
「近所のスーパーで、望遠鏡を売り始めた!」
と言って、貯金箱を開けた。
子供達が取り囲んで眺める中、小銭を数え。それを持ってお店に戻った母。
(私も一緒だったような気もする。)
こうして我が家に、とても小さな反射式の天体望遠鏡がやって来た。

月の表面を見る。
ものすごくまぶしくて、すごいデコボコ。
空気でちょっとゆらゆらしてる。

私はまんまと天文少女になり、望遠鏡見たさ(と実験やりたさ)に中学では科学部に入り、
他の部活の子たちが帰った後の暗い屋上で、学校の望遠鏡を使って手当たり次第に星を眺めていた。
宇宙少年団に入って、将来の夢を「宇宙飛行士」と書いていた。
(その後高校でまさか科学の赤点ギリギリ人間になるとは……orz)

そんな頃、毛利衛さんが日本人として初めてスペースシャトルに乗って、宇宙へ行った。
それはもう大変な騒ぎで。
日本人のヒーロー。子供達の憧れ。
宇宙少年団だったおかげで私も何度かお会いしたり、一緒に海外のコンファレンスに行ったりした。
とても優しい印象の、狭い意味ではない「教育」に熱意のある方だ、と感じた。
私にとって「宇宙飛行士」は、ともかくまずはあのときの“最初の3人”。
毛利さん、向井さん、土井さん。

大変だったろう、とつくづく思ったりもする。
スーパーアイドル歌手みたいな、しかも相手は油断ならない(笑)インテリ系や政治系やピュアな子供達や、
ドサクサに紛れようとするいろんな種類の人々だったりして。
いちいちの言動に注目されて、いわれない批判のようなものもきっとされることもあるだろうし。

だけど、印象に残っているのは、あるときどこかで毛利さんが
『自分を通すことで宇宙に興味を持つ人がいるなら、自分は“客寄せパンダ”でかまわない。』
というようなことを書いていたこと。
私、毛利さん好きです。


その毛利衛さんが、どうやらSFを執筆したらしい、と聞いて興味を持った。
報告やノンフィクションの本ではない、SF。しかも宇宙を舞台にしたSF。
ほんとうの「宇宙」をよく知る宇宙飛行士が描く宇宙絵巻。
しかもそこには幽霊も登場し、主人公は恋もするし、カノジョに振られたりもする。

f0032403_1723677.jpg
時間があるのをいいことに、また借りて読んでみた次第であります。
『モマの火星探検記』

とっても素敵な本でありました。

動画もつけたので折りたたみます。↓







主人公「モマ」は、若い頃に初めて火星に降り立った宇宙飛行士メンバーの一人だった。
それから長い月日が過ぎ、初老を迎えたモマが火星探検の日々を振り返り、その意味を探るというストーリーだ。
そう、若いモマが火星を探検する話ではない。
年老いたモマが、自分の中の“少年のモマ”に語りかける話なのだ。
自分の子供にではない、自分自身に。

もちろん完全なSFだ。
でも、SFだけじゃないんだ。
そこには作者である宇宙飛行士の強烈な体験と印象と、思いと悩みがぎっしりと反映されている。
(なにしろ名前が『モマ』であるのだ。)

『なんて大きいのだろう。地球とは、こんなにも、はかりしれぬ大きさを持っていたのか!!
この巨大さをなんて言い表したらいいのだろう。
たとえば野原に寝転び、空を見上げてみよう。その空いっぱいに、わずか地平線のあたりを残すだけで、
あとはすべてが青と白の巨大な円盤が見えていると想像してごらん。つまり、空一面が地球だと想像してごらん。
…(中略)薄い膜のように張り付いているのが大気だ。あんなに薄いんだよ。まるで赤ちゃんの産毛のように淡く輝いている。』


震えるような、圧倒的な感動の描写。
実体験に基づいているがこそのリアリティがある。

設定やドラマにワクワクを求めて書かれたものではないのだ。
フィクションの自由を得て、思いのたけを写真ではなく絵に描いたような、それがこの本。
自分に語りかけ、子供達に語りかける。

人はなぜ宇宙に行くのだろう?
地球にとって人類って何なのだろう?

私、なんとなーく考えるときがあるのだけど。
よく「地球」または「自然」と「人間」って、両極にあるような、反対に位置するような、
そういう風に描写されることってあるけど、そうなのかなあ?って。
なぜなら人間も、地球から自然に発生した生物であるから。
宇宙人が移住してきたわけでもなく、レティクル星人に指導されてでもなく、
勝手に進化して増えてここまで来た。
つまり、自然な地球の歴史の流れであり、もともと地球にあったもので100%できている、地球の一部。
これから先、自分で自分の首を絞めることになってしまうのかどうなのか。
だけどそんな存在でありながらもやっぱり地球は、マグマも人間もミジンコも全部合わせて「地球」、なのかな、と。
読んでいてそういうのをちょっと思い出したりもした。


同じときになんとなく借りた、茨木のり子の詩集『倚りかからず』
1926年生まれ、2006年に亡くなった茨木のり子さんの詩は身につまされるところもあったりして、逞しくて、いい。

その中に『水の星』という詩が入っていてね。
それを紹介しようと検索したら、動画が出てきたので、珍しく動画を貼り付けまする。




↑詩の最後の一節
『極小の一分子でもある人間が ゆえなくさびしいのもあたりまえで』
というのがなぜか省略されていて不満である(-_-)

ていうか詩を朗読するというのはどうなんでしょうな。いいような微妙なような…



そして思わず、本棚から谷川俊太郎の『二十億光年の孤独』を探し出して、久々に読んでしまった。
谷川俊太郎が18歳の頃に書いたという、1952年発行の詩集。
紹介すると長くなりすぎるので、詩のリンクをこちらに。

『二十億光年の孤独』

『日日』『電車での素朴な演説』なども良い。
この詩集は一生持ってると思う。
by ushimaton | 2010-02-02 18:09 | おすすめ!


気が小さいのに、珍しいものは好き。 道草を喰って、たまに反芻したり。 牛歩ではありますが。


by ushimaton

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

☆★うしまとん★☆

 生まれと育ちは北海道

 震災被災地にお手伝い
 行っております

 コメントの返事が
 とどこおりがちですが、
 嬉しくありがたく
 読ませていただいています

 自分のブログの更新する余力がなかなかなくなってしまいましたが、日々の報告メールをこちらに出しております。
災害移動支援ボランティアRera


 
☆★リンク★☆

うしのつむじ
 牛の版画
ひまわりの家から
 手作り&子育て(休止中)
シーラチャーからこんにちは
 タイ子育て日記(移動前)
モロッコ雑貨 リヤド
 モロッコ雑貨とフェアトレード
うさぎのなみだ
 珠玉のひとこと日記
寺田本家
 千葉のおいしい造り酒屋
++明け烏++
 創作小説&日記
彷徨う語り鬼たちの杜
 創作小説
カナダ大平原のファームからの便り
 カナダの牧場
Cowbell's diary
 北海道の放牧酪農
照長土井の長岡日記
 但馬牛
北海道発 真っ赤なトマト
 激うまフルーツトマト
酪農生活100
 新サイトもあります
花のまわりをあるく歌
 手作り&子育て
打弦人生
 ハンマーダルシマー
フィールド オブ ドリームス
 関東の放牧酪農
Nayaカレンダー
 珈琲・カレー・天然酵母パン
うしカメラ
 牛写真家の牧場訪問記


◆笑いでウルオイを◆

ほぼ日刊イトイ新聞「言いまつがい」
虚構新聞

お気に入りブログ

代官山駅前日記
空を見上げて
バイオマスおやじの日々
ちょっとだけ大根
AZUのサンへーブログ。...
そらまめ~北海道便り~
世界は知らない事ばかり
なかじまや

以前の記事

2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
more...

検索

ライフログ


ナヌークの贈りもの


ともだちは海のにおい


いのちの食べかた


神さまってなに? (14歳の世渡り術)


ムーミン谷の冬 (講談社文庫 や 16-5)


どうぶつさいばん ライオンのしごと


ことりをすきになった山


ぐるんぱのようちえん(こどものとも絵本)


HARD TO FIND Vol.2


あなたが世界を変える日―12歳の少女が環境サミットで語った伝説のスピーチ

カテゴリ

つらつら
気になること
おすすめ!
ともだち&チビッコ
自分のこと
うち
ウシ話
旅のそら
まきばにっき
ほたてにっき
はたけにっき
みなみにっき
東日本大震災

タグ

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧