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三線に行った

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ずっと足が遠のいていた、オジイの三線教室に顔を出した。

本当に久しぶり。
去年の今頃は毎日通っていたのに。

年に一度の三線の試験に合わせて、試験を受ける子供たちの練習がメインになったあたりから、なんとなく足が遠のき。
パタパタしている間に、まとんに精神的ギリギリ期が訪れて、三線どころかここに居ることにギリギリとなり。
そのままふっつり。

私がギリギリ期(笑)になった頃から、オジイの様子も変わってきていた。
当たり前といえば当たり前か。私は誰にも何も言わず一人でいっぱいいっぱいしていたし、だから周りの人たちにとっては訝しいばかりだったろうし。
当たり前だが三線に全く顔を出さなくなったことに、オジイは怒っていたらしい。
「ヤマトは中途半端ばかりする。」と言っていたらしい。
わかっていても、とても無理だった。

だけど、思い切り歌うというのはとても体や心に有効で。
だから、どうにも頭がぐるぐるになったときなど、部屋で一人で三線弾きながら歌ったりしていた。


最近になって、それまで職場でもよそよそしくなっていたオジイが以前のように冗談も言ってくれるようになり。
検査のために私より先に那覇に行ってしまうと聞き。

夕方、三線を背負って、オジイのところへ行ったのだった。


三線抱えた私の顔を見るなり、
「お前、珍しいことしてるな!」
と、オジイは驚き笑った。
それから、ひとしきりお説教をいただいた。
「これから伸びるってときに中途半端してやめたら何にもならない。毎日じゃなくても、週に1回でも、こっちにきて練習しないとダメだ。ヤマトンチュはそんな人間ばかりだ。」
オジイは正しい。(ヤマトンチュのくだりはともかく)
私は私を弁護する言葉をちょっとだけ言いたくなった。オジイ、私も大変だったよ。と。
だけど、それ以前に私が行かなくなったのも確か。
だから、返す言葉なく、黙ってお説教をうけた。

「ケース開けてみろ。」
私はケースを開けて、三線をオジイに渡した。
毎回、練習前は必ず、オジイか生徒の上手な子に調弦をしてもらう。少し放っておくだけで音はずれてしまうのだ。
自主連となると、貸してもらったMDの音を頼りに自分で調弦しなきゃならないのがきつい。

受け取ったオジイが私の三線を少しの間指で弾いて、
「一人でたまには練習してたのか。音は狂ってないな。」
そう言って、微調整をしてくれた。
良かった。

それからオジイと向かい合って、半年以上ぶりに一緒に歌った。
変に緊張して、久々だから指がもつれて変な音がやたら出て、しばらく歌わなかったから息が続かなかった。
続けて2曲歌い終わると、オジイが顔を上げた。
「ヤマトの人間でこれだけ歌えるなら、どこに行っても堂々として歌っていい。お前、やめないで続けていれば、もっともっとうまくなったのに。」


翌日も、三線を背負って行った。
オジイは笑って、
「お前、がんばるな。」
と言った。

弦が切れたときのために、替えの弦とウマ(弦を並べる部品)をくれた。

久々に、ステージに立って歌った。
無駄に緊張する(笑)
だけど、これも最後だからね。

「オジイは何でもハッキリ言うだろ?」とオジイ。「だけど、『もう来るな』と言われても、叱られてもまた来れば伸びるんだ。そうだろ?」
どうやらオジイは、私が来なくなったのはオジイが私を叱ったからだと思っていたらしい。
そういえば正月ころ、挨拶に行ったときに、「ちゃんと三線に来い」と叱られたことがあったっけ。だけど本気で怒っているんじゃないってわかってたから、気にせず来るつもりだった。そうじゃない理由で止まってしまったのだけど。
だからさ。違うよオジイ。でもうまく説明できないから、黙って聞いていた。

「私が一人でこれから練習するのに、気をつけるところって何?」
「どんどん前に出て堂々と歌え。」
「もっと大きな声で?」
「いや声のことだけじゃない。お前なんかはいつも、人前になったら後ろに引っ込むだろ?どんどん出てこれる人間がうまくなるんだ。」


結局、オジイが出発する前日までの3日間三線に通った。
ちょうど父母会があったので、皆さんに挨拶することもできた。

最後の練習が終わり、お礼をして帰ろうとしたら、「せっかくだから飲んでいけ」と引き留められ、開けないままにビールを持って父母会が終わるのを待っている間、どんどん寂しくなってしまい、奥の部屋で一人でめそめそ泣いた。


三線、いつまでも大切にします。
たまにはちゃんと練習します。


ありがとうございました。
by ushimaton | 2009-05-16 12:44 | みなみにっき


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